第58回 100円大台目前、節目ブレイクトレードの注意点【大橋ひろこのなるほど!わかる!初めてのFX】

マネックスメール編集部企画の特集コラムをお届けします。

第58回 100円大台目前、節目ブレイクトレードの注意点【大橋ひろこのなるほど!わかる!初めてのFX】

ドル/円1ドル100円の大台目前となり、直ぐにでも100円突破するとみる強気派と、いずれ抜けるにしても3桁大台節目はそう簡単に抜けないだろうという慎重派、そして、4か月近い急ピッチのトレンドだったため、大台はタッチせず長い調整に入るだろうとみる弱気派が交錯し神経質な値動きとなってきました。99円90銭台までトライし失速するという値動きを何度か繰り返していますが、100円の大台手前にはオプションの防戦売りがあるだとか、大量の円買い注文があるため頭が重くなっている、などという報道が増えてきてくるものですが、外為市場のプレーヤーは多岐に渡っているため、その全容を把握することは不可能です。確かに大台節目にはいろいろな思惑が交錯するでしょうし、とんでもない大きな注文も並んでいるでしょうけれど、1日の取引高は5兆ドルを超える外為市場においてはほんの一部の情報に過ぎません。オプションや大量の注文情報が自分の耳に届くころには市場には周知の事実となっていると思って間違いないですが、仮にそれが早耳情報であったとしても市場を動かすほどのインパクトとなる情報であるケースはほとんどありません。一部の注文情報に心を惑わされ本筋であるシナリオが見えなくなってしまうとトレードがぶれますので、そういうニュースに反応して動くことは得策ではないと考えていいと思います。

今、ドル/円ロング(買い)で100円超えを待っている向きは、早ければ今週中に、そうでなくても長期的にはいずれ超えてくるだろうという「シナリオ」を構築した上でそれをひたすら待っている状態。しかし失速して下げてくれば損失となる前に投げるでしょう。その投げが大きければ想定外の下落となることも多く、その時はロングはすぐさま切らねばなりません。こうした下落を避けるには、この相場に於いて大衆がどの水準で大量に買っているのかを見極めることが重要になってきます。今回のドル/円相場のケースでは前回為替報告書と金の急落に連れて急落となった時の安値である96円50~90銭台のロングが大きいイメージ。つまり、ここを割り込まなければ100円超えを狙ってロング継続でOKと考えられます。勿論、96円50~90銭よりも高いところで買ってしまったという方は、その前の段階でも損失が大きくなる前に切るのが良いのではないでしょうか。

逆に、そう簡単には100円は超えられないと見ている向きは、ロング派よりは短期的なシナリオで100円手前で売って下げたら利食って回転させているのでしょう。100円トライに失敗しても大崩れしないのは売り方(売っている向き)は利食いが早く、また下げればすぐさま買い方(買いたかった向き)がロングを構築するという相場つきになっているからです。売り方が売り乗せして相場を崩そうとしているムードはありません。足の速い短期ポジションがほとんどですから、もし一瞬でも100円到達となれば、売り方は戦略失敗ということで、あわてて売りポジションを手仕舞ってきます。つまり買戻します。節目に大量の売り注文があればあるほど、超えてしまった時に買い戻されるエネルギーが膨大となるため、思わぬスピードで上昇してしまうのです。これが節目を突破すると走る、と言われる状態ですが、買い方はこれを期待して買って待っているわけですね。短期目的で売っている場合は100円到達で潔く諦めないとスルスルと1円くらい上がってしまって取り返しがつかなくなる可能性が大きいので注意が必要なのです。

100円の節目はいつ超えてくるか予想できないため、突破を巡っての攻防では売り方も買い方も思わぬリスクが生じることを覚悟で参戦しているのですが、こうした局面で「負けない」ためには「100円を超えてから参戦」することです。思惑が交錯するなか、100円を超えるか超えないかわからないのにポジションを構築するのはただの期待に賭けているに過ぎません。しかし、超えた後の値動きは比較的予想が容易いのです。
節目を超えると、売り方が投げるために一度大きく上振れします。しかし一気に101円を目指すかというと、買い方が達成感から利食いに走りやすく、失速することも多いのです。達成感からの利食いの嵐で一度100円近くまで落ちて来たところが買いのポイントと考えられます。もしくは99円台まで落ちてきてもそこは黙って拾ってみるチャンスでしょう。利食いが去れば、大台達成、節目ブレイクを好感した向きがトレンドフォローで素直に買参入してくるからです。そこからが新しい次元での相場のスタートとなるのです。
超えるか超えないかわからない大台節目にヤマを張ってポジションを作るより、超えた後の失速を狙って買参入するほうがリスクが極力少なくて済むのです。待つのも相場。負けないためにはリスクを極力避けることが肝要です。

コラム執筆:大橋ひろこ

フリーアナウンサー。マーケット関連、特にデリバティブ関連に造詣が深い。コモディティやFXなどの経済番組のレギュラーを務める傍ら、自身のトレード記録もメディアを通じて赤裸々に公開中。

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