第59回 ドル円100円到達できずにGW突入「Sell in Mayリスクは?!」 【大橋ひろこのなるほど!わかる!初めてのFX】

マネックスメール編集部企画の特集コラムをお届けします。

第59回 ドル円100円到達できずにGW突入「Sell in Mayリスクは?!」 【大橋ひろこのなるほど!わかる!初めてのFX】

ドル円相場が100円の壁に阻まれ到達できぬままGWを迎えました。トレンドさえ崩れていなければ「いつ」100円到達するかということに大きな意味はないのですが、例年この時期になると「Sell in May」というウォール街の格言からアメリカの株式相場が崩れるリスクが警戒されるため、100円到達の時期はしばらく先に仕切り直された印象も。特に今年はロイター通信が4月19日に伝えた「ヒンデンブルグ・オーメン」という、テクニカル的な株価暴落の前兆のサインが点灯したことが話題にもなっていて、ダウ平均が史上最高値圏で推移していることから[株価急落]への警戒は例年以上に高まっているように感じます。

しかし「人の行く裏に道ある花の山」。皆が警戒すればするほど、相場は崩れないという指摘もあります。相場が大きく崩れるのは皆が楽観に傾いて油断している時。下げるはずがないと思っているためポジションが買いに偏り、何かが起こった時に皆が総投げの状態となることから暴落となるわけです。警戒が織り込まれる過程においては適度な手仕舞いが起こり、売り買いが交錯するため暴落とはなりにくい。今年のマーケットはいったいどちらの状態で5月を迎えるのでしょうか。

アメリカは5月中間決算・11月本決算のファンドが多く、ヘッジファンドの多くは解約申し込みを四半期末に限定しているため投資家は各四半期末の45日前までにヘッジファンドに解約申請をしなくてはなりません。これが「45日ルール」と呼ばれるもの。これ以上の上昇が見込めない、あるいは下落するだろう、というリスクを警戒した投資家はヘッジファンドの解約を申し入れることが予想されることから5月15日は注意を要するとされています。これは例年のことであり、特に今年特有の材料ではありませんが、5月に売れ、というのはこうした背景に起因していると考えられます。

また、今年は5月19日にも注意が必要。昨年騒がれた財政の崖問題のひとつである米国の政府債務ですが、昨年末に法定の上限に達したものの暫定措置により現在も国債の発行を続けています。要するに問題を先送りしたのですが、その暫定措置の期限は5月19日となっているのです。このリミットが近づいた今も市場がこのリスクをあまり警戒していないのは、あるシンクタンクが、債務が上限に到達しても、再び財務省の緊急措置で最長で10月半ばまで延長される可能性があると予想しているように、「どうせまた先送りされるだろう」という楽観が広がっているためかと思われます。今年3月の強制歳出削減の発動などにより、歳出が従来の想定を下回る公算が大きくなったためで、最新の予測では「8月半ばから10月半ば」に債務上限に到達するとの予想になっています。しかし、2011年8月に債務上限への到達期日が迫った時には、ギリギリで債務上限引き上げ法案が可決し難を逃れたかに見えましたが、その数日後、格付け会社S&Pが米国の格付けを引き下げたことで、マーケットが大きく崩れました。5月19日に向けて、政府債務問題についての報道にドルが弱含むリスクは捨てきれません。

45日ルールや債務上限問題など5月中旬に警戒すべきイベントが集中することに加え、今年は4月中旬に金市場が大暴落となったことや、ボストンマラソン爆発事件、AP通信ツイッターアカウントハッキング事件など、なんとも不穏な事件が続いており、警戒は一段と強まっている印象です。しかしながら米株は堅調地合いを崩すことなくドル高基調も継続中です。

アベノミクスに黒田新日銀総裁の量的質的緩和策の全容が見えてきた今、一段の円安には新たな材料不足とも指摘されていますが、新たな材料が放たれる前に米国に異変が生じた時には、ドル円相場も少しばかり大きめの調整局面を迎える可能性があることをお忘れなく。100円到達前にはひと波乱あるかもしれません。

それでも大きなトレンドは円安、日本株高に変わりはありませんので、深い調整があればバーゲンハントのチャンスだと考えていいでしょう。

コラム執筆:大橋ひろこ

フリーアナウンサー。マーケット関連、特にデリバティブ関連に造詣が深い。コモディティやFXなどの経済番組のレギュラーを務める傍ら、自身のトレード記録もメディアを通じて赤裸々に公開中。

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