第12回 日本企業による中国への投資意欲はなお旺盛【北京駐在員事務所から】

マネックスメール編集部企画の特集コラムをお届けします。

第12回 日本企業による中国への投資意欲はなお旺盛【北京駐在員事務所から】

昨年夏からの日中関係悪化を受け、日本企業の対中ビジネスの意欲が低下し、東南アジアやインドなどが注目を集めていると伝えられていますが、国際協力銀行(JBIC)が実施した日本企業(製造業)の海外直接投資に関するアンケート調査によれば、中国は投資先としてなお有望と評価されています。

アンケート調査では、中期(今後3年間程度)的に有望と考える事業展開先として、一社当たり5ヶ国・地域の回答を得ました。
結果、昨年7月調査(回答社数514社)では62.1%の企業が中国を挙げ、インド(56.4%)を抑え第1位となりました。

その後の日中関係の悪化を踏まえ、JBICでは昨年11月に追加調査を行い、結果、回答のあった288社中59.7%が中国を挙げ、比率は低下したものの、インド(56.9%)を抑え、1位の座を維持しました。
特に、中国進出から日が浅い企業が、高い投資意欲を見せているそうです。
2011年の調査では、回答企業の72.8%が中国を挙げており、比率は大幅に低下していますが、2位のインドも得票率は頭打ちで、中国の人気の根強さがうかがえます。

この調査結果を踏まえ、日本貿易振興機構(JETRO)の担当者は、「今後しばらくは、インドが中国を抜き1位となることは考え難い」と述べています。
一方、中国の研究機関の専門家は、「インド、ベトナム等の新興国は、賃金水準が低く、競争力を高めている」と指摘しています。

二国間関係の悪化にもかかわらず、今年に入ってからも、日本企業による投資案件が相次いで発表されており、この中には
・住友不動産(大連市にマンション建設の合弁会社を設立)
・味の素(13億円を投じ上海市の子会社のアミノ酸生産能力を倍増)
等、大手企業によるものが含まれています。
また、衣料品販売のユニクロも、中国での店舗展開を積極的に進める方針と伝えられています。
専門家は、今後は多額の技術投資を必要としない小売、サービス等の企業による投資が増えると予想しています。

日本から中国への投資は、今年1~2月は前年同月比減となったものの、3月は大幅増となったそうです。
日本企業の製品、サービスは、技術力やブランドイメージにおいて、ライバルの中国企業を凌駕しているとされており、今後も巨大消費市場の獲得を狙った投資が続くことが期待されます。
二国間の経済活動が活発化することで、外交関係の改善の呼び水となることを願いたく思います。

=====================================

コラム執筆:長野雅彦 マネックス証券株式会社 北京駐在員事務所

マネックス証券入社後、引受審査、コンプライアンスなどを担当。2012年9月より北京駐在員事務所勤務。日本証券アナリスト協会検定会員 米国CFA協会認定証券アナリスト

マネックスからのご留意事項

「特集2」では、マネックス証券でお取扱している商品・サービス等について言及している部分があります。
マネックス証券でお取引いただく際は、所定の手数料や諸経費等をご負担いただく場合があります。お取引いただく各商品等には価格の変動等による損失が生じるおそれがあります。また、信用取引、先物・オプション取引、外国為替証拠金取引・取引所株価指数証拠金取引をご利用いただく場合は、所定の保証金・証拠金をあらかじめいただく場合がございます。これらの取引には差し入れた保証金・証拠金(当初元本)を上回る損失が生じるおそれがあります。

商品ごとに手数料等及びリスクは異なりますので、詳しくは「契約締結前交付書面」、「上場有価証券等書面」、「目論見書」、「目論見書補完書面」又は当社ウェブサイトの「リスク・手数料などの重要事項に関する説明」をよくお読みください。

マネックスメール登録・解除

コラム一覧