第60回 ECB、雇用統計受けてドル円100円到達も近い?! 【大橋ひろこのなるほど!わかる!初めてのFX】

マネックスメール編集部企画の特集コラムをお届けします。

第60回 ECB、雇用統計受けてドル円100円到達も近い?! 【大橋ひろこのなるほど!わかる!初めてのFX】

GWも終了です。今日から日本勢も本格的に戻ってきてマーケットに厚みが増しますね。今年のGW前にはヒンデンブルグ・オーメン(株の暴落のサイン)点灯などが話題となりSell in Mayが強く意識され警戒が強まっていましたが、過ぎてみれば暴落どころか米国株市場ではダウ平均株価が15,000ドルの大台達成の強さ。GW中には欧州・米国では重要イベントが予定されていましたのでボラティリティが高くなるだろうことは十分に予測できましたが、どちらかというと下落リスクを警戒して買いポジションを閉めて休暇に入ってしまったという向きには少しばかり悔しい結果となりました。

◆ECB理事会:緩和策発表→ユーロもじゃぶじゃぶに?!→通貨安だけど株高連想
GW中の米株上昇、ドル/円相場の上昇の大きな要因のひとつに、欧州のECB理事会がありました。ECBは政策金利を0.25%引き下げる緩和策を発表しましたが、実は政策金利を引き下げるだろうという予想は事前に織り込まれていたため驚きではありませんでした。マーケットを動かしたのはドラギ総裁の会見。ドラギ総裁が「マイナス金利」に言及したことがサプライズとなったのです。具体的には「下限金利の中銀預金金利を0%からマイナスに引き下げる可能性について技術的には用意できている」というものですが、これは銀行が中央銀行にお金を預けておくと金利が取られてしまうという状態になるということ。つまり、銀行は積極的に資金を活用しなくてはなりません。日銀のバズーカ砲に続いて欧州もさらなる緩和に大きく舵を切るとした思惑が広がり、ユーロが売られドルが買われるという動きとなりました。世界の中央銀行が質的量的緩和策を取る中でマーケットにはお金はじゃぶじゃぶにあふれ、通貨の価値は下がり、株式市場に資金が流入するという流れが加速することとなります。その中でも最も先行きが明るいとみられる日本市場、そしてシェール革命に湧く米国市場の株価が選ばれるということになっているわけです。そしてじゃぶじゃぶマネーによるリスク選好相場の継続への思惑から、再度円売りドル買いのトレンド回帰が起こり、ドル/円相場を押し上げる結果となったのです。

◆米雇用統計:指標結果好転→出口論議高まる?!=ドル吸収=ドル高の思惑へ  
そして米国の雇用統計。失業率は7.5%となり、FRBが量的緩和第3弾(QE3)を停止して出口戦略を開始する失業率目標6.5%まで1%と迫りました。また、NFP(非農業部門雇用者数)も事前予想よりも多い16.5万人と発表され、過去2月、3月分も上方修正されました。
FRBが出口戦略を協議する過去6ヶ月の平均NFP数増加数は、+20万人とされていますが、現状の過去6ヶ月の平均増加数は+20.8万人となっていることから、早くも6月のFOMCでの出口戦略の可能性が高まりつつあるとした見方が広がってきています。出口戦略というのは、これまで緩和策で景気を支えてきたものを、もうバラマキ政策はしなくても大丈夫だろう、平常に戻ったと考えて、少しずつバラマキをやめて金融の引き締めを行っていこうじゃないか、という考え方。出口論議が盛り上がればドルの供給量が減少するという思惑からドル高となることが予想されます。これが日本のアベノミクスと相乗効果となり、GW明けにマーケットでは1ドル100円を目指す展開となるかもしれません。ドル/円相場は、今週からまた本邦機関投資家が戻ってくることで、外貨建て資産への投資再開へ動く可能性が高く、また、GW前に休暇中の円高局面への対処としてのヘッジポジションの解消(買い戻し)が入るだろうことを予想すると、今度こそ1ドル100円到達となる可能性が非常に高まっているように思います。

ただし、GW明けの相場という短期的な展望としては強気で問題ないかと思いますが、雇用統計の数字を精査すると平均週間賃金の減少や、全体の労働時間の短縮などが気がかりだとの指摘もあります。これらは先行指標と考えられているためで、先行きは決して楽観できないとの見方も。皆が総強気となれば、思わぬ綻びからマーケットが崩れることもあります。歴史的最高値を更新し続けるダウ平均に異変が起これば、ドル円市場もその影響は免れません。油断は大敵です。強気シナリオは長期的に継続するとは考えないで、相場の急変には柔軟に対応したい相場つきとなっていることを留めおきたい局面です。

コラム執筆:大橋ひろこ

フリーアナウンサー。マーケット関連、特にデリバティブ関連に造詣が深い。コモディティやFXなどの経済番組のレギュラーを務める傍ら、自身のトレード記録もメディアを通じて赤裸々に公開中。

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