第61回 Sell in Mayはもうない?!~100円達成で総強気転換後は要注意 【大橋ひろこのなるほど!わかる!初めてのFX】

マネックスメール編集部企画の特集コラムをお届けします。

第61回 Sell in Mayはもうない?!~100円達成で総強気転換後は要注意 【大橋ひろこのなるほど!わかる!初めてのFX】

ECB理事会での利下げと総裁のマイナス金利言及、4月の雇用統計の強さでダウ15,000ドル大台乗せから「GW明けにドル円100円を目指す展開、今度こそ100円到達の可能性が高まっているように思う。」と先週のコラムに書きましたが、実際ドル円相場は100円の大台を突破、今週週明けには102円台にまで円安ドル高が進みました。到達が近いとう見方だけは思惑通りだったのですが、そのタイミングと背景(理由)は私の想定とは全く違いました。ECBや雇用統計が材料だったとするならば、GW明けの火曜には100円到達もあっただろうと思いますが、ドル円相場は99円台まで上昇すると失速するという展開が繰り返され、市場では「雇用統計の内容を見ても突破できないということは100円到達は難しく、その時期はしばらく後になりそうだ」という見方が急激に増えていたタイミングでの100円突破だったのです。「何故今夜?何故このタイミングなのだろうか?」というコメントも散見され、まさに「油断し強気ムードが後退したタイミング」での100円超え達成となったのです。

このコラムでも「人の行く裏に道あり花の山」の格言、あるいはジョン・テンプルトンの「相場は悲観の中に生まれ懐疑と中に育ち楽観の中に成熟し幸福の中で消えていく」という格言を時折取り上げますが、今回のこともこれらの言葉を改めて噛みしめる結果となりました。まさに「人の行く裏に道あり」で「大衆の予想の裏を行く」のが相場。皆が弱気に転じるならば強気を貫くのも一つの戦略です。かくいう私も火曜水曜のドル円の動きを見て100円超えが遠のいたかと感じ始めていたため、ドル円ロングのポジションは作っていなかったのが悔やまれます。

日本が4月4日に異次元緩和を行った後、欧州、豪州、韓国、インド、ポーランドなどが相次いで利下げを実施、世界通貨安競争の様相を呈しています。対ドルでみると、欧州も豪州も下落しており、一見利下げが効いているようにも見えますが、しかし、対円では豪ドル円もユーロ円もウォン円も下げてはいません。日銀の異次元緩和に次いで利下げしたどの国の通貨よりも、さらに円が売られているのです。これは「利下げではとても太刀打ちできない日本の異次元緩和」のパワーによるもの。通貨安競争は日本が圧勝なのです。海外勢はこれに気が付いて早いうちから日本株買い、円売りを続けていますが、本邦機関投資家はいまだに日本株売りを続けていますし、外債投資にも慎重姿勢。しかし、そうは言っていられないことに早晩気が付いて外債投資に転じるならば、円安にはますます拍車がかかることになります。30年債入札が旺盛だった背景にザ・セイホなどのジャパンマネーが動いていたという予測が出たことは、ここからさらに圧倒的な存在である日本の機関投資家による円売りが出るという思惑が走ったということで、これが市場を大きく動かしたとしても不思議はありません。

ここからの基本戦略は、まだまだ円売りドル買いです。100円を超えたことで、104~105円を目指して上昇する流れとなるかと思います。しかし、気を付けたいのが「100円がサポートになる」というコメントが増え、もう2度と2ケタに戻ることはないとの見方が市場に蔓延し皆がドル円は買うしかないと腹をくくった頃。皆が同じ方向を向いた瞬間は危険ですね、大きな調整があるかもしれません。

前回、2ケタの円高局面から100円超えがあったのは95年9月8日。100円ブレークした後は調整を作らず一気に9月19日104.80円まで上昇となりました。しかしその後9月21日に97.20円まで下落となりました。104円まで上昇する過程では誰しもが2度と100円割れはないものと感じる強さを演出してからの大幅調整であったことが確認できます。実に7円幅の調整でした。今回も仮にこのまま104~105円までドル高が進行し、市場関係者が総じて円売りを推奨するムードとなれば、大きな調整が入る可能性も考慮しておきたいと思っています。これが5月中に来るならば、今年はSell in Mayはなかったと決めつけるのはまだ早いのかもしれませんね。そして、大衆の裏をかく大きな調整を見た後に、再び110円を目指すような大きなトレンドが再開するのでしょう。

コラム執筆:大橋ひろこ

フリーアナウンサー。マーケット関連、特にデリバティブ関連に造詣が深い。コモディティやFXなどの経済番組のレギュラーを務める傍ら、自身のトレード記録もメディアを通じて赤裸々に公開中。

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