第15回 中国株式市場は今月に入り上昇も先行きは不透明【北京駐在員事務所から】

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第15回 中国株式市場は今月に入り上昇も先行きは不透明【北京駐在員事務所から】

安倍政権の発足以来、一本調子の上昇を見せている東京株式市場とは対照的に、中国の株式市場は、2月中旬に高値を付けて以降、3月、4月と下落基調で推移していました。
ところが、労働節の連休明けの5月2日(木)をボトムに、今月は反発に転じています。
指標となる上海総合指数は、昨日21日(火)まで5日連騰となり、心理的な節目とされる2,300ポイントを突破しました。

今月に入っての相場上昇の要因は、政府の規制緩和による経済活性化への期待と言われています。
16日(木)に、国務院(日本の内閣府に相当します。)は、今後政府の承認を不要とする、あるいは承認権限を地方政府に委譲する行政項目のリストを発表しました。
この中には、油田、ガス田及び空港への投資について、承認手続を廃止する等の項目が含まれています。

市場アナリストは、この規制緩和を「想定外の広範な内容」と評価しており、これにより、投資家が株式に資金を振り向けるためのハードルが低くなったと見ています。
今後はさらに、金利及び為替レートの決定、あるいは天然資源価格の決定に関し、規制を緩和し、市場原理を一段と導入することが期待されています。

規制緩和により経済が活性化することで、開発投資のため多額の借入金を負い、苦境に陥っている地方政府の財政状態改善が図られることも、あわせて期待されています。

一方、政府の緊縮策にもかかわらず、住宅価格の上昇はますます加速しています。
中国の主要70都市の新築住宅価格は、4月に前年同月比4.3%上昇しました。ちなみに3月は同3.1%の上昇でした。
本年1~3月の経済成長率が7.7%と、市場予想の8.0%を下回ったことから、経済の減速感が鮮明になっており、政府は経済活性化と住宅市場の沈静化という二兎を追うことを求められています。非常に難しい舵取りとなります。

経済政策に加え、外交(対日あるいは対南北朝鮮等)、鳥インフルエンザや環境汚染、さらには食の安全の問題等、習近平政権は課題山積です。
いずれも直ぐに解決できるものではありませんが、今後政府がどのような政策を打ち出していくのか、注目したく思います。

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コラム執筆:長野雅彦 マネックス証券株式会社 北京駐在員事務所

マネックス証券入社後、引受審査、コンプライアンスなどを担当。2012年9月より北京駐在員事務所勤務。日本証券アナリスト協会検定会員 米国CFA協会認定証券アナリスト

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