第63回 日経平均暴落でどうなるドル円相場、ここからの見方 【大橋ひろこのなるほど!わかる!初めてのFX】

マネックスメール編集部企画の特集コラムをお届けします。

第63回 日経平均暴落でどうなるドル円相場、ここからの見方 【大橋ひろこのなるほど!わかる!初めてのFX】

株、債券、為替...。各市場の値動きは複雑に絡み合っているようでいて、市場に歪みが生じた際に発せられる警戒レベルとタイミングが奇妙に一致することがあります。23日の日経平均の暴落直前、日本国債の長期金利が1%台に乗せるという上昇を見せていたこと、ドル建て日経平均がここ10年もの間超えられなかった高値150ドル近辺まで上昇していたこと、日経平均株価と200日移動平均線の乖離率が1970年代以降最大に拡がっていたこと、25日移動平均線との乖離率も、約11%に達していたことなどなど、、、。上げればきりがないほどに、「警告」は発せられていました。

市場のSell in Mayへの警戒がすっかり後退したところに突然訪れた日経平均の暴落。中国のPMIがきっかけだったと報道されていますが、これは後付け講釈に過ぎず、真相は債券市場にあったという指摘があります。先週末仕事をご一緒した岡崎良介氏は日銀のオペレーションミスだったと分析されており、この1件から読み取れる今後の日経平均とドル円の適正レベルについてのお話しは大変興味深いものでした。暴落の背景とその考察について伺ったお話しの詳細をこちらでご紹介するわけには参りませんが、あの暴落の後にインタビューさせていただいた専門家、相場のプロの方々の見解をまとめますと「スピード調整」は訪れるべくして訪れた、ということと、週明けからしばらく足元の相場はまだまだ不安定で乱高下必至でも大局の日本株買い、円安トレンドは変わっていないというものです。

直接お話しを伺った関係者だけでなく、メディアを通じて拝見するに大方のマーケット関係者の見方も同意見のようです。すでに来週から絶好の買い場であると買い推奨する向きもあるくらいで、アベノミクス、異次元緩和のトレンドに何ら変化はないのでしょう。ただし、スピード調整が日経平均の先週木曜の1,143円下げで完了したと断言するのは時期尚早かと思います。週明け月曜の日経平均も大幅続落となりました。

今回の日経平均の暴落で104円、105円を目指すといったコメントで溢れかえっていたドル円見通しも修正を強いられることとなるでしょうか。日経平均が1,000円強もの下落となったのにもかかわらず、ドル円相場は103.70円の高値から安値は100.60円前後と3円程度の下落で収まっています。日経平均が一時的にとはいえ、25日移動平均線を下回る下落となったのに対し(24日金曜日は長い下ひげを付けるも終値では25日移動平均線を超えて終わっています)ドル円相場はいくらか下落したとはいえ、25日移動平均線のずっと上に位置したままです。為替市場は株価の急落ほどの混乱は見られなかったのです。

この温度差、今週どちらに収斂していくのかが注目されますが、今回暴落を主導したのが為替市場ではなく、債券、金利市場の混乱をきっかけに日経平均先物に大量の売りが入ったことから生じたことを考えれば、ここから先は日経平均の動向が市場の最大の関心事であり、為替市場もこれに連れることになるだろうと思われます。つまり、週明け以降のドル円相場が再び105円を目指すというような上昇に転じることができるのか、あるいは100円割れも覚悟しなくてはならない波乱を覚悟しなくてはいけないのか、日経平均の行方がカギを握っている、ということになります。

東証1部の売買高は暴落の日23日に過去最高の76億5,514万株を記録しました。前日22日は過去3番目、21日は過去4番目の大商いを演じており、1万5,000円台の高値圏で大量のシコリが残ってしまったことを意味しています。このしこりを熟して上昇するのは容易ではありません。また、日経平均の上昇を牽引してきた欧米ヘッジファンドの多くが決算が5月であることからの益出しに伴う利食いが5月最終週に向けて活発になる可能性も否定できません。Sell in May、やはり5月に売り抜けろを実践するファンドもあるでしょう。5月前半の日本株上昇ラリーで彼らは十分利益が出たに違いないでしょう。この神経質な相場で再度仕掛けるリスクは取らないだろうと思われます。

となると、今回の暴落をきっかけに「スピード調整」ならぬ「日柄調整」「価格調整」も幾分覚悟しておかなくてはならないのではないか。とするならば、しばらくは乱高下しながらも高値が切り下がる展開となり、ドル円相場も「100円がサポートライン」と皆が同じコメントに揃ったところではありましたが、短期的には100円割れも覚悟しておかなければならない相場つきに変わってしまったと見ておいたほうがいいでしょう。100円割れがあればまた買い場到来でしょうが。

コラム執筆:大橋ひろこ

フリーアナウンサー。マーケット関連、特にデリバティブ関連に造詣が深い。コモディティやFXなどの経済番組のレギュラーを務める傍ら、自身のトレード記録もメディアを通じて赤裸々に公開中。

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