第18回 高まる海外旅行熱【北京駐在員事務所から】

マネックスメール編集部企画の特集コラムをお届けします。

第18回 高まる海外旅行熱【北京駐在員事務所から】

先週、中国で富裕層が増加しているとの調査結果についてご報告申し上げましたが、所得が増え、生活に余裕ができれば、お金が向かう先は投資や子女の教育に加え、旅行等のレジャーになります。

日中関係の悪化を反映し、訪日中国人旅行客は減少していますが、以前は東京の銀座通りに中国人観光客のバスがずらりと並び、歩道では至る所で中国語の会話が飛び交っていました。

中国では輸入品に課せられる関税が高いため、ワインやブランド品などの国内での価格は、日本の価格と比べても3割増から2倍程度と高価です。
このため、中国人が海外旅行に出かける最大の目的が「ショッピング」になります。

欧州を中心に、海外旅行客向けに免税ショッピングのサービスを展開するスイス企業グローバル・ブルーによりますと、2012年に同社が取扱った免税売上高は、全世界平均では一旅客当たり512ユーロ(約66,000円)で、前年比6%増であったのに対し、中国は一旅客当たり875ユーロ(約113,000円)で、同8%増でした。
中国は、同社取扱の免税売上高で、2010年から3年連続で国別での世界第1位を維持しているそうです。

旅行の主な目的がショッピングということで、行き先も欧米諸国が人気となります。
「中国の大富豪ランキング」等で有名な調査機関「胡潤」の報告書によりますと、中国の富裕層に人気の国外旅行先は

第1位 フランス

第2位 米国

第3位 シンガポール

第4位 スイス

第5位 英国(昨年のロンドンオリンピックで人気上昇?)

第6位 イタリア

第7位 オーストラリア

となっています。ちなみに日本は11位です。なお、香港は「中国国内」の扱いのため、このランキングの対象外です。

中国人旅行客は、団体で行動し、観光や食事には興味が無く、買い物の時間になると急に元気になるなどと言われていますが、旅慣れた富裕層は、徐々にそのようなスタイルを脱しつつあり、例えばリゾートでの長期滞在を好む等、変化が現れているそうです。

日本でも、海外旅行熱が高まった1970年代から80年代にかけては、円安や関税の影響で輸入品が高価であったことから、海外旅行と言えばショッピング三昧がお約束でした。
30年近く前ですが、たまたま通りかかった香港ペニンシュラホテルのルイ・ヴィトンの店で、日本人客の行列を目にして驚いた記憶があります。
当時、海外旅行を経験された方の中には、帰国時に免税枠上限の「お酒3本、たばこ200本」を持ち帰ったご記憶がおありの方もおいでのことと思います。

日本から数十年遅れて、中国が同じ道を進みつつあるのを実感します。
いずれ、日本のように海外旅行が普及し、楽しみ方も多様化するのでしょうか?
訪日中国人旅客の減少は残念ですが、いずれはこれが回復し、例えば銀座や秋葉原でのショッピングだけでなく、観光、食事や文化交流を通じ日本への理解が深まり、日中関係の改善につながることを期待したく思います。

中国の観光熱の高まりに、昔の日本を重ね合わせて考えてみました。

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コラム執筆:長野雅彦 マネックス証券株式会社 北京駐在員事務所

マネックス証券入社後、引受審査、コンプライアンスなどを担当。2012年9月より北京駐在員事務所勤務。日本証券アナリスト協会検定会員 米国CFA協会認定証券アナリスト

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