第19回 明暗分かれる外資系小売企業【北京駐在員事務所から】

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第19回 明暗分かれる外資系小売企業【北京駐在員事務所から】

経済成長により可処分所得が増加し、中国の小売業は成長が続いています。これに伴い、北京を初めとする大都市では、競争が激しくなっており、新規出店を続け成長をもくろむ企業、あるいは撤退する企業と、明暗が分かれています。

外資系小売企業は、先進的な管理手法や、土地の利用や課税に関する地方政府の優遇政策により、過去数十年にわたり、中国で優位な立場を築いてきました。
ところが、最近では競争激化に加え、店舗の賃料高騰やネット通販の台頭により、逆風にさらされる企業も増えています。

米国のホームセンター大手ホーム・デポは、昨年9月に中国の全7店舗を閉店しました。
中国市場からの撤退と見られています。
また、同じく米国の家電量販店大手ベスト・バイも、2011年2月に中国の全9店舗を閉店し、中国から撤退しました。
最近では、日本のヤマダ電機が、南京市と天津市の店舗を閉店し、当面瀋陽市(遼寧省)の1店舗のみとする旨を発表しています。昨年秋からの日中関係悪化と、ネット通販との競争激化が退店の背景と伝えられています。
また、世界最大のスーパーマーケットチェーンである米国のウォルマートも、中国での新規出店数を、過去数年の年間50店程度から、今後は同30店程度に絞る方針だそうです。

一方で、積極出店を続ける企業もあります。
フランスのスーパーマーケット大手カルフールは、日本からは撤退しましたが、中国では成長を続けています。
今年の3月には、内陸部の内蒙古自治区に初めて出店し、今後は地方都市への出店を積極的に進めるそうです。
また、ドイツの小売大手メトロ(日本では業者向け卸売店を出店しています。)も、地方都市への出店を加速する方針と伝えられています。

北京では、百貨店やスーパーマーケットは地元資本の企業に加え、日系、韓国系、欧米系、さらには香港や台湾資本の企業も参入し、熾烈な競争を繰り広げています。
日系企業で目立つのはイオンとイトーヨーカ堂です。イオンは、日本の地方都市と同様に、郊外にシネコンや駐車場を備えた大型モールを展開しており、家族連れなどで賑っているそうです。
また、イトーヨーカ堂も、住宅街に大型店を出店しており、店舗形態としては百貨店に近いものになっています。

カルフールにも時々行きますが、週末はレジ前の行列が凄く、大変な繁盛ぶりです。
また、市の中心部には、香港資本の高級スーパー(日本の明治屋あるいは成城石井のような感じです。)が多数出店しており、こちらも近隣の会社員、OLなどで賑っています。

小売各社も、厳しい環境の中、生き残りを必死に模索しているように思われます。
品揃えやサービスなどの面で、日本企業が評価され、中国でプレゼンスを確保できるよう望みたいと思います。

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コラム執筆:長野雅彦 マネックス証券株式会社 北京駐在員事務所

マネックス証券入社後、引受審査、コンプライアンスなどを担当。2012年9月より北京駐在員事務所勤務。日本証券アナリスト協会検定会員 米国CFA協会認定証券アナリスト

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