第67回 地合いが変化したらトレードスタイルも変えよう!【大橋ひろこのなるほど!わかる!初めてのFX】

マネックスメール編集部企画の特集コラムをお届けします。

第67回 地合いが変化したらトレードスタイルも変えよう!【大橋ひろこのなるほど!わかる!初めてのFX】

外貨預金でもFXでも大相場に上手く乗ることができれば買って放置するだけでも大きな収益を上げることが可能です。今回のアベノミクス、異次元緩和相場と呼ばれる円安ドル高がいい例で、ドル/円相場は昨年11月中旬の79円台半ばから、今年5月22日に103.74円をつけて半年間で20円以上も上昇、上昇率は30%にも達しました。半年の間にこれだけ上昇したのは1970年以降のことだそうです。この間米ドルを買って半年放置していれば大きな収益となったわけですが、40年ぶりということですからこんな大相場は滅多にあるわけではありませんね。

その半年で30%も上昇するというドル/円の大型相場は5・23ショック以降、神経質な値動きに終始しています。103.74円までドル高円安が進行していたものが、安倍首相の成長戦略第3弾への失望、日銀の金融政策決定会合のゼロ回答(市場が期待した長期金利抑制策を講じず政策の現状維持を発表)などのショックから一時は93円台にまで下落しており、高値からは10円もの下落となっています。つまり、この相場は、米ドルを売っていれば良かったということになりますね。

為替の取引は2国間のパワーバランスによって日々変動しているものであって、物の絶対価値ではないので、延々と上がり続けるものでもなければゼロになるものでもありません。したがって買って放置しておいたらガンホー株のように大化けする、なんてこともありません。FXで収益を上げ続けようと思うならば、安くなったら買って高くなったら売るトレーディングを繰り返すしかないのです。その点に於いてはFX取引は外貨預金よりも圧倒的に利便性の高い商品と言えます。米ドルの価値が下がるだろうと思われる局面では「売る」取引ができることが収益機会を逃さないポイントなのです。

長くFXトレードをしてきた方は(特にリーマンショック以降のマーケットを知っている方は)「売り」のポジションを取ることに抵抗がないかとは思いますが、アベノミクス相場からFXを始めたという方は、買うことで儲かるという成功体験からスタートしているので、流れが変わったとしても買いから入ってしまいマイナスが出ても耐えてしまうという失敗に陥りやすくなります。大局の展望としては長く続いた円高の相場は大底を打って歴史的なトレンド転換となったと考えており、いずれ上がってくるだろうと思っていますが、だからといって10円も下がる相場で、マイナスが出てしまっている買い持ちのポジションを放置しておくことは大きな収益機会の喪失につながっています。マイナスポジションを保有することでその分の証拠金に資金が取られてしまって、資金に余裕がなくなってしまいますね。買った値位置まで相場が戻ってくるまでの期間にどんなチャンスが訪れても資金不足で積極的なトレードが出来ないのです。ポジションを取った時の思惑と相場の動きが違ったら、さっさと損切りして次のチャンスに備える方が収益を上げやすくなることを肝に銘じてくださいね。

今、市場はアベノミクス異次元緩和という大きなテーマが小休止中で、米国の出口論議に関心が移っています。バーナンキ氏が金融緩和引縮小の工程に言及したことで、今すぐに市場の緩和マネーが減るわけではないのに、新興国から資金の引き上げが起こっておりブラジル、トルコ、インドなどの通貨が下落しています。加えて7月危機とも噂されるチャイナリスクがリスク回避ムードを醸成しています。

現在のドル/円相場は買っていれば儲かった地合いとは変わってしまったことを認識し、買い一辺倒のトレードスタイルからやり方を変えることが大切です。乱高下する相場ではポジションを長く保有せずデイトレードスタイルにシフトすることも大切。どんな相場でも同じやり方では勝てません。マーケットの変化に合わせて「売る」こともFXで勝ち残るためには重要なポイントです。

コラム執筆:大橋ひろこ

フリーアナウンサー。マーケット関連、特にデリバティブ関連に造詣が深い。コモディティやFXなどの経済番組のレギュラーを務める傍ら、自身のトレード記録もメディアを通じて赤裸々に公開中。

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