第20回 中高生の海外留学が増加【北京駐在員事務所から】

マネックスメール編集部企画の特集コラムをお届けします。

第20回 中高生の海外留学が増加【北京駐在員事務所から】

経済成長が続く中国では、増加する富裕層の関心が投資、旅行に加え、子女の教育に向かっています。
中国でも受験競争は熾烈で、北京大学や清華大学を初めとする有名大学への入学は、極めて狭き門となっています。最近では、入試で電子機器を使った不正行為も横行しており、各大学はあの手この手で防止に努めていますが、毎年新手の不正が発覚するそうです。

過熱する受験戦争が影響してか、年々海外への留学生が増加しています。以前より、大学、大学院レベルでは、多くの留学生が欧米各国や日本などで学んでいますが、最近では十代の中学生、高校生の海外留学が急増しているそうです。

調査機関の推計によると、昨年、海外に留学した18才以下の中国人は約78,000名です。
日本人の海外留学生は、2010年時点の調査結果で、全年齢合計で約58,000名ですので、18才以下の留学生だけで、日本を上回っています。
ちなみに、この日本人留学生の数ですが、2004年の約83,000名をピークに年々減少しています。
長引く景気低迷と就職難が、減少の背景にあるものと思われますが、大変残念ではあります。

南部の広州市にある留学あっせん会社は、昨年一年間で、18才以下の学生1,202名にサービスを提供しました。前年2011年は641名でしたので、一年で87%増です。

子女を海外留学させる親の期待は、語学(まずは英語です。)の習得、独立心と広い視野の涵養にあり、治安の良さと合わせ、留学先としては英国が一番人気だそうです。
英国の中学、高校への留学生は25,000名程度で、うち中国人は約4,000名と、国別での最多となっています。
英国では、16才以下の学生、生徒については、国内在住の保護者が必要なのですが、保護者となれる親族等がいない留学生には、あっせん組織がホストファミリーを紹介する等により、便宜を図っています。
ところが、このホストファミリーが、真に保護者としての役割を果たしているケースから、「名前だけ」のケースまで様々とのことで、孤独と不安に苛まれた留学生が犯罪に走る等、問題も発生しています。

英語学習等、留学前の準備に始まり、留学中の授業料や生活費など、金銭的な負担は膨大です。
それだけに、親の期待は否応にも大きなものになりますが、子供にとっては、慣れない環境での生活によるストレスに加え、親からの期待がプレッシャーとなり、心理的な負担は大変なものです。

十代での海外留学は、成果を挙げることが出来れば、その後の人生の貴重な財産になるのでしょうが、非常なリスクを伴うものでもあります。
環境への不適応や、問題発生により、志を果たすことなく帰国する子供が一人でも減るよう、親、留学先の保護者、さらには学校等関係者が、適切なサポートをすることが望まれます。

発展する中国の勢いを象徴する話題ではありますが、いろいろ考えさせられてしまいました。

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コラム執筆:長野雅彦 マネックス証券株式会社 北京駐在員事務所

マネックス証券入社後、引受審査、コンプライアンスなどを担当。2012年9月より北京駐在員事務所勤務。日本証券アナリスト協会検定会員 米国CFA協会認定証券アナリスト

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