第7回 ゲームを読み解く 【市場のテーマを再訪する。アナリストが読み解くテーマの本質】

マネックスメール編集部企画の特集コラムをお届けします。

第7回 ゲームを読み解く 【市場のテーマを再訪する。アナリストが読み解くテーマの本質】

みなさん、こんにちは。『今どき、株で儲けるヤツは、「業種別投資法」を使っている』著者の長谷部翔太郎です。暑い日々が続いています。皆様もご体調を崩されることのないよう、何卒ご自愛ください。さて、株式市場は5月の急落後、着実に水準を切り返してきました。春先ほどの熱狂感はないとしても、景況感、延いては株価への見方は着実に改善しているように思えます。そういった中、参議院選挙も波乱なく終わり、残す政治マターは消費税引上げの最終判断ということになってきました。1997年には、当時の橋本龍太郎内閣が景気回復を過信し、消費税引上げを断行。その結果、景気を一気に冷やしてしまった苦い経験があります。財政問題は明白ながらも、このリスクをどう捉えるか、という点は今後の株式市場において非常に重要なポイントとなると考えます。

さて、「テーマを読み解く」とした本コラムですが、7回目となる今回は、「ゲーム」を取り上げてみたいと思います。スマホ向けのゲームでは、ガンホーオンラインエンターテイメントが年初より11倍を超える急騰を一時演じるなど、概してボラティリティの高い値動きが注目されています。そのガンホーでは、ヒットゲームがサービス開始からわずか1年半未満で既に1,600万もダウンロードされ、それに併せて2012年の営業利益は前年比約8倍にも急拡大することとなりました。これは大ヒットゲームを抱えた企業の典型例とも言える業績、株価の推移でした。投資家としては、こういった銘柄を誰よりも早く発見・発掘したいというのが本音でしょう。

しかし、ヒット商品があらかじめわかるなどということは現実にはありません。鳴り物入りのサービスが不発となり、大して期待していなかった商品が大化けすることの方がむしろ多いのが実状でしょう。そういった観点では、以前にこちらのコラムでも触れた「バイオ」株と似ているかもしれません。「何が、何時、何をきっかけに当たるのかわからないが、当たれば大きい」というわけです。ただし、バイオと異なり、ゲームではその「当たり具合」の途中経過を測ることができます。この差は大きく、バイオはどうしても最初から期待先行となってしまいますが、ゲームの場合は実績を確かめてから注目するという順番で取り組むことも可能なのです。そして、その後実績の絶好調が継続すれば、徐々に期待先行型に変化し、バイオ株のようなトレンドになっていく、というのがこれまでの定石とも言える株価の経緯であるように思えます。この順序の差は投資という観点からすれば、非常に重要です。

また、実はゲーム株は大きくその主役が変遷してきた歴史があることも見過ごしてはいけません。かつては、ケーム株と言えばゲーム機器メーカーでした。しかし、徐々にゲームソフト会社にその主役が移り、少し前まではガラケー(スマホ以外の普通の携帯電話)向けゲームを主力にしていた企業が大きく注目されました。これらはユーザーの志向がハードからソフトへ、そしてオンラインサービス、さらにスマホ化など、時代(世代?)の移り変わりを如実に示す推移と実に一致しているのです。将来に大化けするゲーム株を探すうえで、こういった歴史的な視点はとても重要でしょう。

このコラムでは、テーマを考えるうえで重要なのは、「それによってモノの流れがどう変わるのか」と「誰がそれを喜ぶのか」だと繰り返し指摘してきました。ゲームの場合、モノの流れは特に変化はありません。その一方、喜ばせるべきユーザーの志向の変化に逸早く対応することが大きなカギを握っています。それが手薄になると、どれだけ質の高いゲームを輩出しても「テーマ」にまでは昇華しないように感じています。世代の転換点にはそういった大化け企業が出やすいものであることを是非覚えておいてください。


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