第72回 日経平均が崩れたワケ。今週大注目のFOMC 【大橋ひろこのなるほど!わかる!初めてのFX】

マネックスメール編集部企画の特集コラムをお届けします。

第72回 日経平均が崩れたワケ。今週大注目のFOMC 【大橋ひろこのなるほど!わかる!初めてのFX】

日経平均が崩れています。参院選自民大勝を受けても直後は動意がなく、先週は揉みあいの様相を呈していましたが、アベノミクス第2幕を期待する声から楽観論も多かった印象でした。しかし、先週26日金曜には432.95円安、週明け29日月曜も468.85円安と続落、チャート上では2つの大きな窓が出来て2空を形成しての下落となってしまいました。ドル/円相場も100円の大台を固めることが出来ず97円台まで円高ドル安進行となっています。ねじれ解消、アベノミクスへの期待が広がる中で何故円高が進み、日本株は売られてしまったのでしょうか。

ポイントは米国株が崩れていないということ。日本株がこれだけ崩れているのに米国株は何故史上最高値圏での推移を続けているのでしょう。

先週、WSJ(ウォール・ストリート・ジャーナル)紙の経済担当記者ジョン・ヒルゼンラス氏の記事がマーケット市場で話題となりました。このヒルゼンラス氏はFEDウォッチャー(米国のFRBの金融政策を中心に、人事も含めたあらゆる動きを専門に観察、分析している専門家)として知られています。
「FRBは、7月末の会合で『フォワードガイダンス』を議論し失業率目標をこれまでの6.5%から6.0%へ引き下げ、インフレ目標を2.5%から1.5%へ引き下げる可能性がある」というものです。

フォワードガイダンスについては、第69回のコラムを参照ください。
http://lounge.monex.co.jp/pro/special2/2013/07/09.html

今、市場ではQEマネーの縮小開始時期を巡っての出口論議が盛んです。今、米国は月額850億ドルもの米国債、MBS等の資産買い入れを行っていますが、こうした手段は「非伝統的金融政策」と呼ばれます。今、市場が注目しているのは非伝統的金融政策をいつ縮小させるのか、という点でした。市場関係者らは、バーナンキ氏の記者会見がある9月に買入れ額を縮小させるのではないか、と予想しており、記者会見のない今週30~31日のFOMCでは大きな変更はないと思っていたのですが・・・。

一方で政策金利を引き上げたり、引き下げたりすることで金融調節をすることを伝統的金融政策と呼びますが、今回のヒルゼンラス氏の記事はこちらについての変更がある可能性に言及しているのです。これまでバーナンキ議長は失業率が6.5%に改善するまで、そして、インフレ率が2.5%まで上昇するまで「低金利政策」を継続するとしています。ということで、低金利政策は2015年くらいまで継続されるだろうという見方がコンセンサスでした。しかし、この数字がさらに修正され、低金利政策を長期化させるという決断をバーナンキ議長の記者会見がないということから、あまり注目されていなかった今週31日のFOMCで発表するのではないか、という思惑がにわかに広がったことが米国株買いに安心感を与え、ドル安を加速させているとみられるのです。

ドル安ですから、円高です。ドル/円相場は、100円台から値を崩し97円台へ下落し、日本株市場を圧迫しました。米国株高なのに日本株安は、為替市場の円高が引き起こしており、そしてそれは、今週のFOMCで何か出てくるのではないか、という警戒から引き起こされているものと考えられるのです。

個人的には今週31日のFOMCでフォワードガイダンスの修正が示されるとは思えないのですが、一部には今週31日発表のアメリカの4~6月のGDPと、今週末2日に発表される7月の雇用統計の数字がFRB関係者に事前に知らされるんじゃないか、なんて噂まであるようです。噂に過ぎませんが。となると、もし今週のFOMCで、失業率目標とインフレ率が引き下げられたら、GDP、雇用情勢が著しく悪化しているのではないか、という思惑に繋がってしまうという可能性もあるということですね。となるとさらにドル売りが加速してしまうでしょう。
今週は米国から出てくる材料でドル安がさらに加速するのか、フォワードガイダンス修正は噂に終わってドルが買い戻されて、円安再開となり、日本株も下げ止まるのか見極める週となります。

コラム執筆:大橋ひろこ

フリーアナウンサー。マーケット関連、特にデリバティブ関連に造詣が深い。コモディティやFXなどの経済番組のレギュラーを務める傍ら、自身のトレード記録もメディアを通じて赤裸々に公開中。

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