第74回 常にトレンドがあると思うなかれ 【大橋ひろこのなるほど!わかる!初めてのFX】

マネックスメール編集部企画の特集コラムをお届けします。

第74回 常にトレンドがあると思うなかれ 【大橋ひろこのなるほど!わかる!初めてのFX】

ドル/円相場や日経平均の日足チャートを眺めていると、昨年10月中旬から7ヶ月にも及ぶ大きな上昇トレンドを形成していたものが、5月23日以降は値動きが荒いものの大きな「レンジ相場」に入ってしまっていることが確認できます。

日経平均は12,500円から15,000円の2,500円幅レンジ。ドル/円相場は94円から100円の5~6円幅でのレンジ相場で、だんだん上値が切り下がってきているようにも見えます。昨年10月から今年の5月までは、株もドル/円も「買って放置」するトレンドフォローで利益を積み上げることができましたが、5月以降同じ手法では利益になるどころか損失が出る局面も多く、手法を「短期間で売買する」トレーディングに切り替えなければ生き残れない相場に変わってしまった、ということです。

2013年年初から「アベノミクス相場」がテーマとなり日銀の異次元緩和も手伝って、歴史的なスケールの大相場が演じられてきました。しかし5月23日の暴落以降、マーケットは「米国の出口論議」にテーマを変えてしまいました。米国がいつQEマネーの縮小に向かうのかを巡って経済指標の数字を、またFOMCメンバー要人発言を受けては思惑が広がり、米国長期金利が動き、ドル/円相場が変動することで日本株も揺さぶられているのです。

こうした市場の関心・テーマのシフトに気が付くことができるか否かが、トレード手法を切り替えることができるかどうかに繋がってきます。そして、「アベノミクス・異次元緩和相場」が非常に解り易い日本円売り株買いと解釈できるトレンド相場だったことと比較すると「米国の出口論議(緩和縮小開始)」はまだ決定した事実ではなく、思惑で動いているだけですので方向が定まりにくく、トレンドが出来にくい状況になっているということなのです。

それでもテーマがシフトしたばかりの時期には欧州・日本と比較して最も出口(金融政策の引き締め)に近いのは景気の良い米国だけだ、として年後半のドル高トレンドを予想する声も広がっていましたが、実際にはドル高とはなっておらず、むしろバイアスとしてはユーロ高、円高気味となってきています。実際の値動きは、マーケットの大方の予想を裏切り続けるものですね。9月には米国のQE縮小が開始されるだろうという思惑が大勢であるにもかかわらず、です。9月のFOMCでは現在マーケットが最大の関心を示している緩和縮小があるか否かの結論が出ますし、日本の4~6月期のGDP改定値が発表されることから、消費税引き上げ論にも結論が出されることでしょう。日本株もドル/円相場も8月すっかりレンジ相場に入ってしまっていますが、テーマに答えが出ることでトレンドが生まれるかもしれません。しかし、テクニカル、サイクル論からは「トレンドを形成した期間と同程度のレンジ相場をこなさないと次のトレンドは生まれない」という考え方があります。となると、今回のアベノミクス上昇トレンドは7か月程度。5月の暴落以降、7か月あまりのレンジ相場をこなしてからでないと次のトレンドが発生しないとするならば、ドル/円が103.74円の高値を超える、もしくは94円をも割り込む円高のトレンドが発生する可能性は年内は低いということになります。

材料の薄い8月はまだまだトレーディング相場。ファンダメンタル的には9月の雇用統計を見てFOMCで緩和縮小があるか否か、9月9日に出る日本の4~6月期のGDP改定値を見て消費税導入が決まった際の反応でトレンドが発生する可能性があります。ただ、サイクル的にはまだレンジ相場の日柄が必要だとの見方もありますので、あまり決め打ちせず、柔軟にシナリオ修正、トレード手法を変えていくことが肝要です。

コラム執筆:大橋ひろこ

フリーアナウンサー。マーケット関連、特にデリバティブ関連に造詣が深い。コモディティやFXなどの経済番組のレギュラーを務める傍ら、自身のトレード記録もメディアを通じて赤裸々に公開中。

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