第75回 夏休み明け、ドル/円相場を動かすテーマはアベノミクス第2幕とテーパリング 【大橋ひろこのなるほど!わかる!初めてのFX】

マネックスメール編集部企画の特集コラムをお届けします。

第75回 夏休み明け、ドル/円相場を動かすテーマはアベノミクス第2幕とテーパリング 【大橋ひろこのなるほど!わかる!初めてのFX】

先週までのお盆休み期間は薄商いの中、日経平均先物やレバレッジETF(LETF、レバレッジ型上場投資信託)を使った裁定取引がマーケットを動かしていたようです。

「後場終盤の相場急変動、ブルベアファンドが一因か」
http://jp.reuters.com/article/wtInvesting/idJPL4N0GE1YD20130813

(ロイターのウェブサイトに移動します。)

日経平均のインデックス主導での乱高下に連れて、遅れてドル/円相場も動くという地合いで、法人税減税の話題を巡って日経平均が動く度に95円台から98.50円近辺へと上昇するなど、そこそこの値幅はありましたが98.50円から円安水準には夏休みに入った輸出企業のドル売り注文がズラリと並べられていた、という話もあって上値は重い展開。日足チャートを見ると綺麗に上値が切り下がってきており、8月の円高アノマリー警戒はまだ解けぬ状況にあるように思います。

「8月円高アノマリー」
http://lounge.monex.co.jp/pro/special2/2013/08/06.html

お盆休みが終わり売買高の増加が期待される今週ですが、ここから先は特に米国のテーパリング(QE資産購入額の縮小)と日本のGDP改定値を確認することで消費税増税が決まるのかどうかなどの重要イベントを9月に控え、まだまだ方向が定まりにくい展開となりそうです。

先週のコラムで、5月23日以降、マーケットの話題はアベノミクスからテーパリングへとシフトしてしまった、と書きましたが、先週あたりからアベノミクスも再度テーマになって来そうな空気が醸成され始めています。日本の4-6月期のGDPが予想より悪くて円高となり、安倍首相が法人税減税を指示した、との報道で円安へ。消費税導入、法人税減税などの「アベノミクスが成功できるか否か?」を焦点にした海外勢の活発な取引が改めて浮き彫りとなってきたようです。

5月22日、FRBのバーナンキ議長は年内にテーパリング開始を言明、そして多くのマーケット関係者が9月のテーパリングの開始を見込んでいます。長期にわたる大量の資産購入による緩和マネーでジャブジャブとなっている市場は、テーパリング開始をきっかけに巻き戻しが起きれば、大きな下落となる可能性があります。ブラジルなどの新興国市場から資金が流出しているのも、テーパリングを見込んでの早期撤退だと思われますが、ここから先、最も気がかりなのは米国の株式市場が崩れることなくテーパリングが開始できるかどうか。先週は米株が続落で引けており、いよいよ大きな調整が入るのかどうか見極めが必要となってきました。米国株が大調整を強いられることとなれば、日本株への影響も避けられません。その際は、円も買われる展開となりドル/円相場は再び90円方向への円高示現も考えられます。

加えて、再びマーケットのテーマとなりつつあるアベノミクス第2幕。9月9日のGDP改定値が消費税導入の是非を問う重要な数字となっています。先週発表された速報値が期待外れだったため、改定値も悪かった場合には株式市場への失望売りが入り、円高を招くことが想定されますが、そうした事態を回避するための法人税減税抱き合わせ案が水面下で調整されているような気配。まだ自民党内でのコンセンサスが取れてはいないようですが、
少なくともGDP速報値が思いのほか低かったことが政府の背中を押して、思い切った成長戦略第4の矢、5の矢をも放ってくるという新たな期待が持ち上がる可能性も。現政権にとってアベノミクスを腰折れさせることはできません。すでにGPIFもドル/円相場でドル買いに動いているという指摘もあり、9月になれば年金などの機関投資家も動き出すでしょう。おそらく日本側から出てくる材料は「買い」です。アベノミクス第2幕への期待からの日本株買い、ドル/円の買いVS テーパリング警戒からの米株下落リスクが今週以降の主要な材料となってくるでしょう。

テーパリングに関しては、8月分の雇用統計が最も重要な指標となってくるかと思われますが、他にも以下の指標に注目です。またFRBメンバーによるテーパリングに関する発言にも神経質に動くことが予想されます。
8/21(水) 27:00 米国・FOMC議事録
8/29(木) 21:30 米国・2Q GDP
8/30(金) 21:30 米国・7月PCEコア・デフレータ
9/06(金) 21:30 米国・雇用統計

テクニカル的には日経平均もドル/円相場も日足でみれば大きなフラッグ(三角持合い)を形成しており、この持合いを抜けたほうに大きく動くと思われます。そして短期的には明らかに下値を切り下げる下落トレンドを形成中で、このトレンドの底入れを見ないことには、円高のリスクが高いと見ています。8月中はまだまだ思わぬ安値を示現する可能性を排除せず、9月からの大相場に備えたいと考えています。

コラム執筆:大橋ひろこ

フリーアナウンサー。マーケット関連、特にデリバティブ関連に造詣が深い。コモディティやFXなどの経済番組のレギュラーを務める傍ら、自身のトレード記録もメディアを通じて赤裸々に公開中。

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