第28回 急成長を続けるネット通販市場 【北京駐在員事務所から】

マネックスメール編集部企画の特集コラムをお届けします。

第28回 急成長を続けるネット通販市場 【北京駐在員事務所から】

広大な国土を有し、また鈍化しているとはいえ経済成長が続く中国では、ネット通販市場の成長も目覚ましいものになっています。
調査機関が19日(月)に発表した中国の本年1~6月のネット通販売上高は7,542億元(約12兆円)で、前年同期比47.3%増となりました。
今年一年間での売上高は1兆7,410億元(約27.5兆円)に、また小売売上高に占める割合は7.2%に達すると予想されています。
5年前の2008年には、売上高1,000億元、小売売上高に占める割合が1.3%でしたので、売上成長率は年率77%、シェアも5.5倍に上昇という急成長ぶりです。

日本のネット通販の売上高は、2011年実績で4.3兆円、2016年予想で6.6兆円です。
また小売売上高に占める割合は、2011年実績で3.6%、2016年予想で5.6%です。中国が既に「ネット通販大国」であることがお分かりいただけると思います。
小売業者にとって、全国の消費者を顧客に出来るネット通販の魅力が大きいことに加え、決済システムとしての銀聯カード(買物代金が銀行口座から引き落とされるデビットカード)の普及が成長の追い風になっています。

代表的なサイトの一つ「天猫(TMALL.com)」を見ますと、ブランド品、衣料品、パソコン、電化製品から生鮮食品まで何でもありで、価格も総じて百貨店などに比べ安いため、人気があるのも頷けます。
ただ、ネット通販サイトの商品には、偽物や品質に問題のある商品も多いとのことで、利用にあたっては価格や販売業者の信頼性などの見極めが必要だそうです。
専門家は、消費者の目が肥えてきていることから、今後はこれまでのような高成長は期待できず、劣悪な商品あるいは業者の淘汰が進むと予想しています。

日本やアメリカでは、ネット通販の普及により、百貨店や一般小売店のショーウィンドー化(消費者が店舗で実物を確認し通販で購入する。)が進んでいると言われていますが、中国では個人消費全体の増加でパイが拡大しているため、ネット通販が小売業全体への脅威となるまでの状況には至っていないようです。
最近でも、イオン㈱が内陸部でのショッピングセンター出店を発表するなど、地方都市を中心に、商業施設の開発、開店のニュースが多く聞かれています。
ただ、今後はネット通販と実店舗販売の競争が一段と激化し、どちらがより消費者の信用を勝ち得るかで優劣が決することになるでしょう。

様々な商品が販売される中国のネット通販市場では、「日本製」への信頼が絶大だそうです。日本製品の販売チャネルとして、今後ネット通販が活用される機会が増えることが望まれます。

ネット通販の隆盛に、中国の活力の一端が垣間見えるように思えます。

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コラム執筆:長野雅彦 マネックス証券株式会社 北京駐在員事務所

マネックス証券入社後、引受審査、コンプライアンスなどを担当。2012年9月より北京駐在員事務所勤務。日本証券アナリスト協会検定会員 米国CFA協会認定証券アナリスト

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