第10回 酷暑銘柄を読み解く 【市場のテーマを再訪する。アナリストが読み解くテーマの本質】

マネックスメール編集部企画の特集コラムをお届けします。

第10回 酷暑銘柄を読み解く 【市場のテーマを再訪する。アナリストが読み解くテーマの本質】

みなさん、こんにちは。『今どき、株で儲けるヤツは、「業種別投資法」を使っている』著者の長谷部翔太郎です。早くも9月を迎えました。まだ残暑は続きますが、ふと涼しい朝が訪れるようになりました。これからはどんどん秋が深まっていくのでしょう。季節の変わり目となります。引き続き、みなさま、体調にはお気をつけください。さて、これから数週間の株式市場は、これまでの夏枯れの後、オリンピック、消費増税の最終判断、米国の金融引締め観測など、大きなイベントが迫ります。シリアやエジプト情勢もあり、先行きはまだまだ不透明ですが、波乱含みの展開となる可能性は否定できないと見ています。これまで相場はしばらくボックス圏と見ていましたが、イベントなどを契機にボックス圏を突き破る動きが増すものと思っています。

さて、「テーマを読み解く」とした本コラムですが、10回目となる今回は、酷暑を取り上げてみたいと思います。秋が見えてから「酷暑」を取り上げても・・・と思われる方も多いでしょう。その通りです(笑)。実は、夏が終わるのを待っていました。暑いときの酷暑のテーマとなると、とっくにいろいろな媒体で注目銘柄が語られています。しかも天候要因であるために、その継続性には疑問符をつけざるを得ません。であれば、このコラムでわざわざ取り上げる必要はないと判断したのです。むしろ、では「酷暑銘柄」は夏が終わったらどうなるのか? 酷暑の次のテーマは何なのか? に筆者は興味を持ちます。これが、この時点で敢えて酷暑をテーマに取り上げる理由となります。

まず、一般的な酷暑銘柄についておさらいをしておきましょう。よく言われるのがビール、飲料、アイスクリーム、夏物衣料、クーラーなどがそのテーマ銘柄になります。しかし、例えば代表格であるビール銘柄(現在は清涼飲料を含めた持ち株会社株)が酷暑を追い風に上昇したのは7月前半くらいからであり、猛暑が長く続いた8月には早々に頭打ちとなってしまいました。これをご覧になってもわかる通り、実は夏季限定という短期間のテーマに乗ることは実はとても難しいのです。11月に発表される7-9月期決算は酷暑メリットを数字で確認する局面となりますが、この段階では既に冬間近となってしまっている以上、逆に材料出尽くしで売り材料となるリスクも否めません。酷暑はわかりやすいテーマであり、関連銘柄も予想がつきやすいという利点があるものの、夏が終わる前から売り場を早くも探さなければならないというのが現実なのです。期間限定モノのテーマは売り場をしっかり見定めておく必要があります。

では、もう少し長い目で見てみましょう。実は猛暑は主としてラニーニャ現象によってもたらされることが多いのですが、その場合、冬は厳しい寒さになりやすいことが知られています。今回もそうなるかどうかはわかりませんが、厳冬となる確率は髙いと言えるのではないでしょうか。すると、今度は厳冬関連がテーマとなる可能性が出てきます。こちらの方でしたら、暖房器具、コートなどの冬物衣料、カイロや感冒薬のドラッグストア、スノータイヤやおでん関連などが関連銘柄として挙げられます。期間限定のテーマに乗ることは結構難しいのですが、こう考えてその次のテーマへの準備をしておけば、それが話題となる一足前で待ち伏せをすることができるのです。もちろん、本当に厳冬になるかどうかは現時点では不明ですが、こういった視点を持っておけば、例えば気象庁による長期予報などを見る目も変わってくるのではないでしょうか。ただし、仮にシナリオ通りとなったとしても、くれぐれも冬が終わる前に売り場を探しておく必要があることをお忘れなく。

最後に、酷暑の中、日本では各地でとんでもない集中豪雨が発生し、多くの方が被災されました。この場を借りて、被災された方々にお見舞いを申し上げます。一刻も早い復旧をお祈り申し上げます。

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