第31回 ダイヤモンドの需要が急拡大中 【北京駐在員事務所から】

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第31回 ダイヤモンドの需要が急拡大中 【北京駐在員事務所から】

中国で昔から人気の宝石と言えば、何と言ってもヒスイ(翡翠)です。
指輪などのアクセサリーはもちろんですが、精巧な細工を施した置物も人気で、豪邸の客間を飾るヒスイの置物は、中国人の成功と富の象徴となっています。

また、赤色を好む中国人には宝石サンゴ(珊瑚)も人気が高く、日本近海で採集される濃い赤色のサンゴで作られる置物などは高値で取引されています。乱獲や密猟、密輸等の問題も頻発しており、資源の枯渇が懸念されています。

これらに加え、近年、生活水準の向上で厚みを増した中間所得層を中心に、ダイヤモンドの需要が急拡大しており、現在では世界最大の需要先となっているそうです。

世界のダイヤモンドの取引の中心地はベルギーのアントワープで、世界中で産出されるダイヤモンド原石の84%、また研磨、カット後の製品の50%が、アントワープで取引されています。
アントワープのダイヤ取引は550年の歴史を有し、長くユダヤ商人が市場を支配してきました。
近年ではインド人がこれに加わり、一大勢力となっているそうですが、旺盛な需要を背景に中国人の取引業者が存在を高めています。

2年前に、中国は米国を抜き、アントワープからのダイヤ製品輸出先の第1位となりました。
2012年にアントワープから輸出されたカット済ダイヤ製品のうち、31.3%が中国向けだったそうです。
2008年のリーマンショックで、先進諸国の需要が鈍化する中、一気にシェアを高め、その後も拡大が続いています。

アントワープの老舗の販売店でも、中国人スタッフの採用を増やしており、彼らはSNSを利用し、中国の顧客に商品を紹介しているそうです。
新聞記事では、昨年中国人スタッフを採用した業者の話を紹介していました。顧客の60%が中国人で、最近販売した商品の中で最も大きな4カラットのダイヤは、24歳の中国人女性が購入したそうです。
これまで、中国人の需要は1カラット以下の小型のものが中心で、大きな石の需要先は主にロシアだったそうですが、中国の需要が高額商品にも拡大していることがうかがえます。

中国人のダイヤモンド需要は、宝飾品としての実需に加え、資産運用(投資)目的での購入も多いそうです。
既に中国人の需要動向が、相場にも影響を与えるようになっているそうで、「中国経済に変調が生じ、需要が細ることがあれば相場は下落する」と心配する声も聞かれています。

自動車購入、海外旅行、さらには子女の留学等、さまざまな分野で中国の存在感が高まっていますが、宝飾品の市場も同様のようです。
生活水準が向上すれば、このような奢侈品(ぜいたく品)の消費にも目が向くことは当然です。
投資商品として退蔵させるだけでなく、宝飾品としてのダイヤモンドを楽しむ文化が広がるよう望みたく思います。

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コラム執筆:長野雅彦 マネックス証券株式会社 北京駐在員事務所

マネックス証券入社後、引受審査、コンプライアンスなどを担当。2012年9月より北京駐在員事務所勤務。日本証券アナリスト協会検定会員 米国CFA協会認定証券アナリスト

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