第11回 東京オリンピックを読み解く 【市場のテーマを再訪する。アナリストが読み解くテーマの本質】

マネックスメール編集部企画の特集コラムをお届けします。

第11回 東京オリンピックを読み解く 【市場のテーマを再訪する。アナリストが読み解くテーマの本質】

みなさん、こんにちは。『今どき、株で儲けるヤツは、「業種別投資法」を使っている』著者の長谷部翔太郎です。季節はすっかり秋となってきました。これまで夏の次はいきなり冬、という年ばかりだったように記憶していますが、今年は久々に秋というものをゆったりと感じられるような気がしています。気温の変化も激しくなってきています。みなさま、くれぐれも体調にはお気をつけください。さて、株式市場は夏休みが終わるのを待っていたかのように、活気を取り戻してきました。春先のような一本調子の展開にはありませんが、様々な材料が賑わいを見せ始めています。利食いをこなしながら、相場は緩やかな上昇トレンドに転じてきたものと見ています。

さて、「テーマを読み解く」とした本コラムですが、11回目となる今回は、東京オリンピックを取り上げてみたいと思います。このコラムにしては珍しく(笑)、既に現在進行形で注目されているテーマとなります。ただし、既に散々提示されているオリンピック関連銘柄、業種にここで触れるつもりはやはりありません。もちろん、それらがメリットを享受するのは明らかですし、折に触れて今後も注目はされるでしょうが、大まかな構図は早々に市場に織り込まれてしまうと考えます。オリンピックまではあと7年もあるため、現時点で単純に連想される業種・銘柄がずっと相場の柱になるとは思えないのです。むしろ、現時点では思いつかないような業種や企業がオリンピックを契機に大きく発展し、「真のオリンピック銘柄」に浮上してくるのではないか、と期待しています。オリンピックはデフレ化で沈滞していたムードを大きく変える可能性があります。既に若い成長企業は多く輩出され始めており、先日も半導体製造装置の分野で国境を跨いだ再編が発表されました。こういった流れは沈滞ムードの払拭からさらに加速するのではと思います。

ただし、そういった業種や銘柄を現時点で予想できるはずもありません。そこで、ここでは大きな変化を伴う「真打」銘柄を発掘するための視点について議論してみたいと思います。まず考えるべき視点はエコシステムでしょう。そもそもこのオリンピック招致で諸外国が最も懸念したのは放射線漏れの問題でした。単に放射線を封じ込めるだけでなく、さらにエコシステムの確立・実用化まで進化させることができれば、東京での開催が成功であったと評価される原動力になるはずです。当然、オリンピックでの成功があれば、全世界に向けて最高のアピールにもなります。現状の太陽光発電卸売の拡大といったものではなく、もっと抜本的かつ大規模なビジネスが出現したときの期待は大きいと考えます。また、言い古された言葉ですが「地方」も重要な視点と位置づけます。政府は2030年に訪日観光客数3,000万人との目標を掲げますが(2012年実績は840万人)、オリンピックがこれに大きく貢献することは間違いないでしょう。しかも、海外からの訪問客は日本人が想定しがちな名所観光とは違う視点で日本の魅力を感じてくれます。特に地方は(少々不便でも)日本ならではの風情、人情、食事、文化が感じられる場所として評判は既に上々です。工夫をこらした「おもてなし」で、世界的に有名な観光地に成長する地方は必ず出現してくると予想します。それらに関連する観光産業、仕掛け人となる企画会社などは注目したいところと言えるでしょう。

なお、東京への五輪招致には主に震災被災者の方から、あまり歓迎したくないとの声も聴かれます。筆者は五輪と復興は意義としても時間軸で見ても分けて考えるべきとの意見ですが、この心情は真摯に受け止めるべきとも考えます。こういった声に応えるためにも、オリンピックを単なる「ハコもの」の公共投資に留めておいてはいけません。それには民間の活力と知恵が不可欠です。個々人でできることには限界がありますが、逆境を飛躍の土台に変えるべく、何かしらアクションと取ることが重要であると思っています。

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