第81回 悪魔の棲む10月、米国発の下落リスクとは?! 【大橋ひろこのなるほど!わかる!初めてのFX】

マネックスメール編集部企画の特集コラムをお届けします。

第81回 悪魔の棲む10月、米国発の下落リスクとは?! 【大橋ひろこのなるほど!わかる!初めてのFX】

「悪魔の棲む月」と呼ばれ警戒が強まる10月。このコラムが掲載される頃には、米国の
予算をめぐる与野党協議に決着がついているでしょうか。話合いが物別れに終われば政府機関は10月1日から閉鎖され、今週末の4日に発表される予定の9月の雇用統計の公表を延期されることとなりますが...。

1929年の大恐慌の始まりは10月の暗黒の木曜日から始まりました。また1987年のブラックマンデーも10月でした。米国株の月間騰落率でも10月は最大のマイナス月であることから、米国市場では10月を悪魔の棲む月と呼んでいます。今年も米国連邦政府が10月17日までに借り入れ手段が尽きる見込みであることから、米国の株式市場はイベントの多かった9月に引き続き10月も警戒色の強いスタートとなりそうです。

10月の米株のパフォーマンスが悪いのはなぜでしょうか?!ブラックマンデーのようなショック米国の株式市場を襲えば日本株への影響は免れず、為替市場へも大きな影響を及ぼしてしまいます。

10月は多くのミューチュアルファンドと呼ばれる米国のオープンエンド型の投資信託の決算期に当たります。ミューチュアルファンドは投資家に対して配当を支払いますが、この配当金は、前年の11月1日から当年10月31日までに得たキャピタルゲインがもとになります。また、ミューチュアルファンドは法人税節税のため10月末までに損失を抱えている保有株式を売却して損失を確定します。これらの理由から10月はミューチュアルファンドが株式を売却する動きが他の月よりも多くなるため、10月は他の月よりも株価が下がりやすくなるとされているのです。そもそもの季節要因として例年株が売られやすい地合いであるところに別の問題が加わることで10月は株価の下落が大きくなると見られます。

また、NYダウには4年~5年のサイクルが存在していると言われています。NYダウの現在の上昇トレンドの起点は2009年3月の6547ドル。2013年9月18日の15676ドルの史上最高値更新まで実に4年半もの間の上昇トレンドが継続中。テーパリング見送りで、緩和継続による安心感からFOMC直後には史上最高値を更新する強さを見せましたが、現在は反落し、週足チャートを確認するとヘッド&ショルダーというパターンを形成しているように見えます。これはもしこのパターンが形成されれば、天井確認ということになります。(ショルダー部分の方がヘッドを超えているとの指摘もありますが、週足ではショルダー部分は上髭で実態ではヘッドを超えていません)三尊天井とも呼ばれる形ですね。

今年は9月のFOMCで米国がテーパリング(QE緩和縮小)に踏み切るとの大方の予想が覆されたため、「ではいったいFRBは一体いつテーパリングに踏み切るのか?!」が最大関心事。10月4日に発表される9月の雇用統計の数字は今後のテーパリング開始予想の指標として大きな注目となるでしょう。現在のところまででは、失業率が7.3%、非農業部門雇用者数は前月比17.8万人の増加予想がコンセンサスです。この予想より大幅に改善していた場合は、市場では10月29-30日のFOMCでのテーパリングの思惑などが広がることで、ドル買いになることも予想されますが、そのような動きとなることがあっても一時的でしょう。9月に見送られたテーパリングが10月に開始されることは考えにくく、雇用統計の数字次第では年内のテーパリングの可能性すら後退してしまうことも十分に考えられると思っています。その場合、むしろ米国景気への懸念が広がり株式市場には買いが継続するとは考えにくく、手仕舞いの売りに押される形となるような気がしています。

今回は為替のコラムではなくて米国株、ダウの分析になってしまいましたが、ダウ平均に大きな調整が入ることがあればドル/円相場にもその影響が大きく出ることが予想されるため、ダウ下落リスクについて書かせていただきました。10月はダウ平均の下落リスクが高まるとみられることで、ドル/円相場も円高圧力が高まると予想しているのですが、消費税増税や景気弾力条項の決定、日銀の金融政策決定会合でも動きがある可能性も指摘されており、日本から出てくる材料は日本株にプラスになるものが多いだろうと予測されるため、アメリカ発の下落が一巡した後は、その安値は日本株とドル/円の絶好の買い場となるのではないでしょうか。


コラム執筆:大橋ひろこ

フリーアナウンサー。マーケット関連、特にデリバティブ関連に造詣が深い。コモディティやFXなどの経済番組のレギュラーを務める傍ら、自身のトレード記録もメディアを通じて赤裸々に公開中。

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