第12回 消費税増税を読み解く 【市場のテーマを再訪する。アナリストが読み解くテーマの本質】

マネックスメール編集部企画の特集コラムをお届けします。

第12回 消費税増税を読み解く 【市場のテーマを再訪する。アナリストが読み解くテーマの本質】

みなさん、こんにちは。『今どき、株で儲けるヤツは、「業種別投資法」を使っている』著者の長谷部翔太郎です。先日は風邪をひいてしまいました。急激な気温の変化に身体がついていけなかったようです。油断大敵でした。みなさまも体調にはお気をつけください。さて、株式相場も2013年度後半戦に入りました。暦年ではあと残すところ3ヶ月です。上場株式の譲渡益課税は現在のところ10%ですが、これも今年いっぱいで終了し、2014年からは20%に跳ね上がります。お手持ちの株式で含み益が出ている場合は利食いのタイミングに気をつけて下さい。10%の税率が適応される期間はあと3ヶ月です。

さて、「テーマを読み解く」とした本コラムですが、12回目となる今回は、消費税増税を取り上げてみたいと思います。前回の東京オリンピックと同様に旬なテーマのように思われるかもしれませんが、消費税率の引き上げについては昨年の民主党政権下で道筋ができており、テーマとしては既に旧聞に属するものとなります。10月1日に最終決定となったことで、いわゆる連想銘柄(会計ソフト会社など)にとってもニュース面での材料は出尽くし、ということになると予想します。それでも敢えてこのコラムで取り上げるのは、増税でこれから変化があるのでは、と思われるセクターがまだ残っているため、です。

以前にもこのコラムにおいて、テーマを考えるうえでは、「それによってモノの流れがどう変わるのか」と「誰がそれを喜ぶのか」を見極めることが重要と指摘したことがあります。この思考を消費増税に適用してみましょう。増税で決定的に流れの変わるものが想像できたのではないでしょうか。そうです。「1円玉」です。かつて消費税が3%の時にも1円玉は大量流通したのですが、税率が5%になって半端な金額はかなり減少したはずです。今回8%となることで、再び様々な価格は半端な数字となる可能性があります。しかし、特に一般消費者は1円玉で財布が膨れるのを概して嫌がります。であれば、この消費者を喜ばすことができれば、大きなテーマになり得るかもしれません。この視点であれば、株式市場としてもまだ旬には至っていないようにも思えます。

ここでは、電子マネーに注目します。既に電子マネーは広く流通しており、今やコンビニやスーパー、レストランなどでも使用できるポイントが増えています。これは、決済が一瞬で終了してスピーディなことに加え、物理的な金銭授受がないためにヒューマンエラーが起り難いこと、釣り銭の用意をしなくてもよいこと、などが評価されているためでしょう。消費税分の小銭を避ける方も多いと思います。ただし、まだまだ現金決済の方が圧倒的であることは間違いありません。なんとなく電子マネーの使用を躊躇している消費者は少なくありません。しかし、消費税増税で再び1円玉が財布の中で跋扈するようになれば、これまで躊躇していた層も電子マネーの使用を本格化させるかもしれません。それにより利用可能なポイントが増えれば、電子マネーの利便性がさらに上昇する、そして利用者数が増加し、さらに利便性が高まるという好循環が生まれる可能性があります。消費税増税で物理的なお金の流れが変わってくるかもしれません。そうなれば、電子マネー関連銘柄には投資妙味が出てくるものと予想します。

ちなみに、米国では少額でもクレジットカードで決済するのが一般的です。日本では借金であるクレジット払いには抵抗のある向きが多いため、米国のようにはなっていません。ですが、事前にチャージするタイプの電子マネーであれば、借金ではないため、日本でもより浸透しやすいのでは、と考えました。今回の消費増税が電子マネー一般化のきっかけとなる可能性は十分あると見ます。

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