第82回 米国政府機関一部閉鎖の事態でこう着感強まるマーケット 【大橋ひろこのなるほど!わかる!初めてのFX】

マネックスメール編集部企画の特集コラムをお届けします。

第82回 米国政府機関一部閉鎖の事態でこう着感強まるマーケット 【大橋ひろこのなるほど!わかる!初めてのFX】

米国では1日から政府機関の一部閉鎖が続いているため、先週金曜4日に予定されていたアメリカの雇用統計の発表がありませんでした。前回95~6年にかけて政府機関が閉鎖された際は雇用統計公表が2週間延期されています。前例に倣えば今後2週間は発表されないだろうことが予想されますが、一体いつ予算成立となるのか、また、債務上限引き上げが17日までに決まるのかは誰にも予想できず、雇用統計がいつ発表されるのかはわかりません。

特に先月9月のFOMCでは多くの市場関係者が米国テーパリング(QE3緩和縮小の開始)がアナウンスされると予想していたものが見送られたため、今回発表される予定だった9月分の雇用統計は今後のFRBの量的緩和策の行方を占う材料として注目が集まっていました。

予想できない事態というのがマーケットは大嫌い。不透明要因がリスク回避ムードを高めるため、株や商品などのリスク商品は売られてしまいます。米国株ダウ平均もじりじり下落の様相を呈しており、金価格も1,300ドルの大台を割り込むところまで売り込まれました。そしてドル/円相場も三角持合いの下値サポートラインを割り込み、100円の大台が遠くなってきたように感じます。しかし、債務上限はある日突然引き上げられるとか、与野党のどちらかが妥協することで突然予算が合意したという報道が飛び出して、マーケットが急激に買い戻されて噴き上がるという事態となることも否定できないことから、崩落と言うほどの下落にはなっていません。ショートポジションを大きく傾けることもリスクだという環境ですが、かといって積極的にリスク資産を買えるような地合いではないことからこう着感が一層強まって田印象です。

政府機関からの経済統計などの発表は止まっていますが、民間の指標は発表されています。先週水曜日に発表されたADP雇用者数は予想が+18万人のところ、+16万6000人というネガティブな結果となりました。また、就職支援サイトのブライト・ドットコムの予想は+16万4000人。独立系調査会社リシオ・リポートの調査結果では+15万人、トリムタブス投資リサーチの予想は+15万9000人となっています。これら4つ統計に年初来これまで毎月平均5000人の政府職員が解雇されている調整を加えると、総雇用数は9月にはわずか+15万6000人になるのではないか、とWSJが予想しています。先週まで出てきていた市場のコンセンサスは+18万人。どうやら予想には及ばないネガティブな結果となる可能性が大きいようです。

また、1日から政府機関の一部が閉鎖されているために9月の雇用者数の悪化が懸念されており、10月に発表される雇用統計も悪い数字となるという指摘もあり、この状況では年内のテーパリングの可能性が低下しているとの見方も出てきました。緩和が継続するということは通常ではリスク選好相場継続と捉えられるのですが、テーパリングが先送りされているのは米国の景気の減速が理由ということになると、米国アセットを積極的に買おうというムードにはなりにくいと考えられます。日本は異次元緩和にアベノミクス相場で決して悪くないのですが、米国株売りやドル売りがマーケットを襲えば無傷ではいられません。

ドル/円相場は現在アベノミクスをテーマに円を売るというテーマから米国政府機関閉鎖とデフォルトへの懸念でドルを売るということの方がテーマとなってきています。しばらくはドルの上値が重い展開が続きそうですが、突然あらゆる物事が解決した場合の急騰もあることを考慮しながらのトレードを心掛けたい局面です。


コラム執筆:大橋ひろこ

フリーアナウンサー。マーケット関連、特にデリバティブ関連に造詣が深い。コモディティやFXなどの経済番組のレギュラーを務める傍ら、自身のトレード記録もメディアを通じて赤裸々に公開中。

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