第35回 中国人海外旅行客の買い物熱 【北京駐在員事務所から】

マネックスメール編集部企画の特集コラムをお届けします。

第35回 中国人海外旅行客の買い物熱 【北京駐在員事務所から】

10月1日から7日までの国慶節(建国記念日)連休に、多くの中国人観光客が海外旅行に繰り出し、買い物を楽しんだと報じられています。

世界各国で、中国人旅行客の需要を取り込もうと、中国語を話す店員を配置するなど、サービス競争が行われました。
新聞記事は、「彼らの努力はきっと報われたはず」と述べています。

中国では、輸入品への関税が高いため、例えば欧州の有名ブランドの商品は、現地あるいは日本の価格と比べ、かなり割高です。
一例を挙げますと、フランスの「エルメス」のスカーフを、日本の百貨店で買うと48,000円、空港免税店で買うと4万円のところ、中国のブティックでの価格は3,750元(約6万円)です。
ですので、中国人に最も人気の高い旅行先はフランス、イタリアを初めとする欧州で、旅行の主目的は買い物、となります。
研究機関の推計では、中国人旅行客は、予算の3分の2程度を買い物に充てているそうです。
また、米国のコンサルティング会社ベインは、中国人が購入するぜいたく品のうち、6割は海外で購入されているとの推計を発表しています。

英国の新聞デイリー・メールが伝えたところによると、英国を訪れた中国人観光客は、一人当たり平均で12,800ドル(約124万円)を消費し、これはお金持ちとして知られる中東産油国からの旅行客を上回り、過去最高となりました。

また、パリの有名ブランド店では、中国人旅行客獲得のため、中国茶の専門家を招聘し、高級な龍井茶(ロンジン茶)を用意して来店客をもてなしたそうです。

中国では、欧州への観光旅行はまだまだ高価で、富裕層でないとなかなか行くことができません。
そのため、近場の香港あるいは東南アジア諸国に行き飽きた多くの旅行客は韓国(ソウル、済州島など)あるいは日本を次の旅行先に選んでいます。
日韓ともに、ビザ発給条件を緩和しており、また人民元が対円、対ウォンで強くなっていることから、旅行先としての魅力が高まっています。
韓国では輸入ブランド品や化粧品が、また日本では電化製品が特に人気とのことで、新聞記事は、沖縄の那覇空港近くにあるアウトレットモール「あしびなー」が中国語や銀聯カード(中国で広く普及しているデビットカード)に対応し顧客獲得に努めていると報じていました。

日本でも、30年ほど前までは、円安や関税のため、輸入品は極めて高価で、海外旅行に行くと、免税店で無税持込枠(お酒3本、たばこ1カートン、香水2オンス)一杯の商品を買うことが「お約束」のようになっていました。
現在の中国は、まさに当時の日本と同じような状況ですが、旅行客の数が桁違いですので、各国が競って顧客獲得に努めるのも当然です。
是非、多くの方が日本を訪問し、買い物だけでなく、日本に対する理解を深めていただけるよう、願いたいと思います。

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コラム執筆:長野雅彦 マネックス証券株式会社 北京駐在員事務所

マネックス証券入社後、引受審査、コンプライアンスなどを担当。2012年9月より北京駐在員事務所勤務。日本証券アナリスト協会検定会員 米国CFA協会認定証券アナリスト

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