第83回 噂で買って事実で...?!デッドライン目前の戦略 【大橋ひろこのなるほど!わかる!初めてのFX】

マネックスメール編集部企画の特集コラムをお届けします。

第83回 噂で買って事実で...?!デッドライン目前の戦略 【大橋ひろこのなるほど!わかる!初めてのFX】

米国のデフォルトはないとの楽観から先週末には株式市場などは大きく買い戻されていますが、週末に吉報がなかったことで週明け寄り付きは窓を開けて下落するなど神経質な値動きとなっています。問題となっている債務上限とは、米政府の赤字拡大を防止するために連邦政府に定められた国債発行(債務)の上限額のことですが、実はこれまでに何度も引き上げられているため、今回もデッドラインとされる17日までには引き上げられるだろう、という見通しが大勢だったのですが...。

この債務上限は約16.7兆ドルですが、10月17日には300億ドル程度の手元資金が残るのみ。それも1、2週間で尽きるとされています。17日にすぐに資金が底をつくというわけではないため、即デフォルト状態に陥るということではないのですが、それでも市場関係者が17日をデッドラインとして意識してしまっているため、この日を通過する今週は、引き上げ妥結となればマーケットがさらに大きく買い戻されるというインパクトに、17日までに引き上げが決まらなかった場合は売り込まれる材料となる可能性が大きい神経質な週となると思われます。

今は、米国の債務上限引き上げ問題や予算を巡る駆け引きがマーケットを動かしてしまっていますが、これ、結末がどうなるかを予想しても仕方ありません。政治的な問題は過去の経験則からの予想は可能でも、今回も同じ事情で動くという根拠を示すことは誰にもできないのです。

交渉決裂で反落する可能性もありますし、問題が解決し、リスクオン相場になることも考えられますが、その結果を予想してポジションを作るのではなく、このような場合、問題が解決に向かった場合に、あるいは市場が失望するようなニュースが飛び出した場合に、自身がどのようなポジションを取るのかを事前に明確にしておくことが肝要となります。

大きな問題が横たわり、マーケットが膠着している場合、不透明要因が消えるだろうという観測で買われやすくなります。問題が解決しようがしまいがお構いなしに思惑だけで動き始めます。先週末にかけては、オバマ大統領と共和党員18名が交渉のテーブルについたというだけで凄まじい買戻しでダウ平均やドル/円相場は大きく上昇しました。

ここで気を付けたいのが、「噂で買って事実で売る」という相場格言。先週末の値動きがまさにその動きだったように見えますが、これは違います。この格言は「上昇相場におけるポジティブ」な環境下で言われるもの。これまでの相場がネガティブな材料で売り込まれていた場合、観測記事で売りポジションは慌てて買い戻されます。それまで大きく売り込まれて相場が下がっていた分、買い戻されるエネルギーだけで相場は大きく上昇してしまうので、実際に不安要因が払しょくされる事実が報道された時には、「事実で売り」で売られるのではないか、と考えてしまいがち。観測記事で上昇するとまるで「噂で買って~」のような値動きのように見えますが、これは買われているのではありません。売りが買い戻されているだけです。本当に不透明要因が払しょくされるかどうかまだわからないので、ショートポジションは買い戻しても、新規で買う向きはあまり多くありません。マーケットは買いに転じたわけではないということですから、事実が出てきた時に、買い遅れた向きが一斉に買い参入すれば、「噂で買って、事実で買う」値動きになる可能性も十分にあるということをお忘れなく。相場の下落局面ではこの格言を当てはめて考えるのは適当ではないということです。

ポジティブニュースでは素直に買うスタンスでいいと思っていますが、ただし、長期的展望ではなく問題がクリアになったということに対しての反動に過ぎません。今週の戦略のひとつということですが、今週は特にポジションメイクするなら必ずポイントとなる価格にはストップロス注文を置いてリスクを最小限に抑えることが大切。例えばドル/円相場の場合、直近安値の96・50円近辺を割り込んで下げてくるなら下落リスクが大きくなるでしょう。95円台に下げてしまうことも想定に。逆に99円台に乗せてくるようなら100円ターゲットで上昇に弾みがつくものと思います。

コラム執筆:大橋ひろこ

フリーアナウンサー。マーケット関連、特にデリバティブ関連に造詣が深い。コモディティやFXなどの経済番組のレギュラーを務める傍ら、自身のトレード記録もメディアを通じて赤裸々に公開中。

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