第14回 プロ野球を読み解く 【市場のテーマを再訪する。アナリストが読み解くテーマの本質】

マネックスメール編集部企画の特集コラムをお届けします。

第14回 プロ野球を読み解く 【市場のテーマを再訪する。アナリストが読み解くテーマの本質】

みなさん、こんにちは。『今どき、株で儲けるヤツは、「業種別投資法」を使っている』著者の長谷部翔太郎です。先日来、いくつもの台風直撃があり、日本に限らず各地で大きな被害が発生しました。被災された方々、ご遺族の方々、衷心よりお見舞い申し上げます。一刻も早い復旧をお祈り申し上げます。
さて、季節はいよいよ冬になってきました。そしてあと一ヶ月ちょっとでなんとクリスマスです。残りわずかな2013年。やり残したことはがんばってやってしまいましょう! 一方、株式相場は夏以降、しっくりこない展開が続いてきました。春先に期待も高まったアベノミクスですが、徐々に期待と現実のギャップを埋める相場展開となっているようです。とはいえ、ここにきてやや動きが出てきたように感じます。一進一退の膠着状態はまだしばらく続くかもしれませんが、そろそろボックス圏相場からの脱却が見えてきたかもしれません。

さて、「テーマを読み解く」とした本コラムですが、14回目となる今回は、プロ野球を取り上げてみたいと思います。先日、東北楽天ゴールデンイーグルスが球団設立9年目にして遂に日本一となりました。2011年の震災による大きな痛手からまだ癒えぬ中での栄光でもあり、それほど野球に興味のない方でも、この快挙には心からの讃辞を送ったのではないでしょうか。さらに田中投手の大活躍といった話題性も加わり、人気凋落が著しかったプロ野球もかつての熱気を取り戻したようでした。最近はほとんど野球を見ていなかった筆者も、かつて熱狂的虎ファンであった時のように(笑)、TVの前に釘づけとなっておりました。

とはいえ、プロ野球が株式市場のテーマになることは実はあまりありません。球団経営の現実はかなり厳しく、それが直接的な企業価値向上に繋がるケースは決して多くないためです。企業の宣伝広告費として考えれば非常に効率的とは言えますが、この効果は球団買収時に株価に織り込まれてしまっており、日々の試合結果、ペナントレースで大きく変わるものではありません。まして、近年は野球人気自体がかつての水準とはほど遠い状況にあります。株式市場的にドライに言えば、十分に企業名が浸透した場合は、球団の売却こそがむしろ企業価値向上に寄与する場合すらあると言えるのです。実際、球団売却時に株価が上昇した企業も過去にはありました。知名度が広がるということは、それだけファンにも愛着が湧くということでもあります。しかし、それはむしろ絶好の売り場ということでもあったのです。ファンの熱い想いとは別方向の経営決断となるため、経営者は相当に勇気が要ったのではないでしょうか。

では、球団は親会社の「広告宣伝」機能からは逃れられないのでしょうか。現状の経営実態を見る限り、なかなか難しいのが実状です。かつて村上ファンドが阪神タイガースの上場を提案しましたが、親会社や世論の賛同を得ることはできませんでした。マネーゲームになる、八百長リスクが出てくる、野球機構に反する、といったのがその主たる理由でしたが、筆者は悪くない提案と感じました。海外では、英国のマンチェスターユナイテッドが上場しており、決して荒唐無稽とは思いません。米大リーグは共同オーナー制にあり、ちょうど日本の親会社制と上場の中間のような体制にあります。これも興味深い仕組みです。いつか広告宣伝の枠を越え、「オラがチーム」と全てのファンが安心して熱狂できるシステムがプロ野球にも導入される日を心待ちにしています。

マネックスからのご留意事項

「特集2」では、マネックス証券でお取扱している商品・サービス等について言及している部分があります。
マネックス証券でお取引いただく際は、所定の手数料や諸経費等をご負担いただく場合があります。お取引いただく各商品等には価格の変動等による損失が生じるおそれがあります。また、信用取引、先物・オプション取引、外国為替証拠金取引・取引所株価指数証拠金取引をご利用いただく場合は、所定の保証金・証拠金をあらかじめいただく場合がございます。これらの取引には差し入れた保証金・証拠金(当初元本)を上回る損失が生じるおそれがあります。

商品ごとに手数料等及びリスクは異なりますので、詳しくは「契約締結前交付書面」、「上場有価証券等書面」、「目論見書」、「目論見書補完書面」又は当社ウェブサイトの「リスク・手数料などの重要事項に関する説明」をよくお読みください。

マネックスメール登録・解除

コラム一覧