第41回 中国人の海外旅行熱 【北京駐在員事務所から】

マネックスメール編集部企画の特集コラムをお届けします。

第41回 中国人の海外旅行熱 【北京駐在員事務所から】

海外旅行に出かける中国人の急増で、関連業界が活況と報じられています。本年1~9月の累計旅行者数は7,255万人で、年間合計(予想)は9,800万人です。来年には1億人を突破することが確実で、人口の多さから当然と言えばそれまでですが、中国は世界最大の海外旅行市場になっています。
2009年には4,800万人でしたので、4年間で倍増しており、年率20%近い伸びです。

中国の旅行シーズンは、伝統的に旧正月(1~2月)、国慶節連休(10月初め)、労働節(5月1日)前後、ならびに端午節(6月中頃)前後ですが、最近では学校が夏休みとなる7~8月に両親も休暇を取得して海外旅行に出かける家族が増えており、第3四半期(7~9月)の旅行者数が急増しているそうです。旅行代理店の取扱件数も年々倍増ペースで、業績も好調と伝えられています。

以前は、代表的な観光地を巡り買い物、という定番のツアーばかりだったそうですが、最近では大学のキャンパス巡りや、博物館や遊園地の訪問等、目的を絞ったツアーが人気となっています。
日本でも、海外旅行が普及し始めた1970年代には、例えば欧州三都市(ロンドン、パリ及びローマ)を巡るツアーや、アメリカ西海岸(ロサンゼルス、サンフランシスコとラスベガス)訪問など、「定番商品」が中心でしたが、その後はスケジュールや訪問先のバリエーションが大きく広がりました。中国もいずれはそのような自由旅行への方向に向かうものと思われます。

中国人にとっては、ビザの取得が大変なことが海外旅行普及の妨げとなっていましたが、観光客を呼び込むため、手続を簡素化する国が増えています。
インド洋のリゾート地モルジブは、ビザ不要のため中国人客、特に新婚旅行客が急増しています。
韓国も済州島訪問に限りビザ不要としているほか、先月にはタイと中国とのビザ免除協定が締結されました。英国も手続の簡素化を検討しているとのことで、世界で中国人観光客の獲得競争が激化しています。

海外旅行需要の高まりを受け、航空会社も新路線の開設や輸送力の拡充に努めています。
来年1月に中国国際航空が、また4月にはハワイアン航空が、相次ぎ北京-ホノルル(ハワイ)線を開設するとのことで、注目されています。
現在、北京からハワイには直行便がなく、上海、ソウルあるいは日本の都市での乗継が必要なのですが、直行便の運航開始でハワイの人気化が見込まれます。
航空便の不足に加え、ビザ取得の困難さもあり、今年一年間にハワイを訪問する中国人旅行客は14.4万人と予想されています(ちなみに日本人は昨年2012年で145万人です。)が、来年からはこれが急増しそうです。
少し前の日本のように、「新婚旅行と言えばハワイ」という時代がやってくるかもしれません。

世界の各地で中国人旅行客のプレゼンスが高まっていることから、旅先でのマナーを巡る問題等、一部ではトラブルも生じていると指摘されています。
今後、海外旅行が広く普及し、中国国内でも旅行中に取るべき行動、注意点等に関する情報や知識が広まることにより、中国人旅行客が世界で歓迎される存在となることを願いたいと思います。

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コラム執筆:長野雅彦 マネックス証券株式会社 北京駐在員事務所

マネックス証券入社後、引受審査、コンプライアンスなどを担当。2012年9月より北京駐在員事務所勤務。日本証券アナリスト協会検定会員 米国CFA協会認定証券アナリスト

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