第90回 12月ドル高アノマリーもドルを買うなら下がったところで【大橋ひろこのなるほど!わかる!初めてのFX】

マネックスメール編集部企画の特集コラムをお届けします。

第90回 12月ドル高アノマリーもドルを買うなら下がったところで【大橋ひろこのなるほど!わかる!初めてのFX】

早いもので2013年もあと1カ月。米国は感謝祭が明けるとヘッジファンド勢はクリスマス休暇に入るため、25日のクリスマスが終わるまではファンド勢不在の薄商いとなるとされています。(利益が上げられなかったファンド筋は休まず最後まで仕掛けてこようとするとも言われています)しかしながら相場が動けば海外勢も積極的に動くとか。昨年のアベノミクス相場では欧米のファンド勢主導で相場形成されていましたから、今年も11月下旬から再び動き出した日本株、ドル/円上昇相場に、彼らも休まず参加してくるかもしれませんね。

2000年から2012年までの12月のドル/円の値動きの平均は5.3円もあります。しかも、12月はアノマリー的には「ドル高」になりやすい月。これは12月決算の欧米企業が、海外で上げた利益を本国に送るというレパトリエーションが起こるためとも言われています。海外で儲けたお金を米国に戻すということは、例えばある米国企業が日本であげた利益である円を米国に還流、ドルに替えるということでもあります。決算に絡む需給がドルを押し上げるというワケ。これは欧州企業にも言えることなのでユーロ高になりやすいとも言えますね。ドル高、ユーロ高で、円安が際立つ月になりやすいということです。ただし、このところは日本企業でも12月を決算月とする企業が増えており、2012年に12月を決算とした企業は302社に上っています。15年前に比べ41.7%も増加しています。こうした傾向が続くと本邦勢のレパトリによる円高圧力も出てきますから、このアノマリーもあまりアテにならなくなるかもしれません。ただし、現状では12月決算企業は、全上場3571社に占める割合が8.5%程度ですので、まだまだ円安要因の方が圧倒的に強いと言えるでしょう。

アノマリーが円安だから、エイヤ!とドルを買えばいいわけではありません。買うならできるだけ安い水準で買いたいもの。この12月は2日新甫。2日新甫は荒れるというアノマリーもあります。ではこの12月、ドル/円相場が一時的にでも下落する可能性がある材料にはいったいどんなものがあるでしょうか。

① 6日(金)雇用統計
10月の雇用統計でNFP(非農業部門雇用者数)が+20.4万人と予想の+12.5万人を大きく上回るサプライズとなり、これが米株上昇、ドル上昇の強力な材料となりましたが、11月分の雇用統計はNFPが+18万人となっています。失業率予想は7.2%と10月の7.3%から低下するものとなっており、これが予想通りとなるならば、12月のテーパリング(量的緩和縮小)観測が高まり、ドルは一層の上昇となると予想されます。逆に数字が予想より悪化した場合は、テーパリング観測が2014年3月以降に先送りとなるとの思惑から、ドル/円相場も直後は大きな調整を知られる可能性が高まると思われます。

② 12月13日を期限とする米国議会超党派議員による財政改革協議
政府部門の閉鎖という異常事態にまで発展した米国の財政問題。
問題先送りの代替措置として設置された「両院予算協議会」は、長期的な税制変更や歳出削減、今年3月から始まった強制歳出削減措置の修正などを検討し、12月13日を期限に修正案の提言を行うことが協議会には求められています。この協議会は、民主党のマレー上院予算委員長と共和党のライアン下院予算委員長の主導により進められるが、そもそも、ライアン委員長は合意法案に反対票を投じていたため、先行きは決して楽観できないとの指摘もあります。現状ではマーケットの地合いは大きく混乱することは考えにくい様相となっていますので、13日を迎えるにあたってこのニュースでドル/円が急落するような局面があれば買いの好機かもしれません。

③ 12月17-18日FOMC(連邦公開市場委員会)
テーパリング(量的緩和縮小)が発表されればドル/円はさらなる上昇へ。見送りとなったとしても、現状のマーケットは来春3月までには実施される可能性を織り込みつつあり、ノーテーパリングで下落したところが好機でしょうか。

個人的には12月13日前後に比較的大きな調整がありそうな気がしています。②で述べた米国サイドからのリスクもそうですが、日本では13日金曜はメジャーSQですね。日経平均も終値ベースで今年の最高値を更新していますが、先物市場でつけた16,000円を目指す展開となりつつあります。この先も先物主導での上昇が継続するようなら、このSQには注意を払っておくことも肝要です。


コラム執筆:大橋ひろこ

フリーアナウンサー。マーケット関連、特にデリバティブ関連に造詣が深い。コモディティやFXなどの経済番組のレギュラーを務める傍ら、自身のトレード記録もメディアを通じて赤裸々に公開中。

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