第16回 クリスマス商戦を読み解く 【市場のテーマを再訪する。アナリストが読み解くテーマの本質】

マネックスメール編集部企画の特集コラムをお届けします。

第16回 クリスマス商戦を読み解く 【市場のテーマを再訪する。アナリストが読み解くテーマの本質】

みなさん、こんにちは。『今どき、株で儲けるヤツは、「業種別投資法」を使っている』著者の長谷部翔太郎です。早いもので今年も残すところあと半月(2週間余り)となってしまいました。既に年末のお休みモードとなりつつある方もおられるのではないでしょうか。忘年会疲れもあると思います。無事に良いお正月を迎えられるよう、体調にはくれぐれもお気をつけください。一方、株式相場は腰の強い展開が続いています。随所に証券税制変更に備えての利食いや日柄調整が入っていますが、相場はそれをこなしつつ水準を保っているように感じています。米国でも雇用統計で強い数字が確認されるなど、景気回復感は徐々に鮮明となってきているようです。既に為替市場は金融量的緩和の縮小(テーパリング)を織り込み始めており、日本株にとっても風向きは悪くありません。このままでいけば、2013年は日経平均で約50%の上昇という「大陽線」を形成し、歴史的にも稀な上昇相場であったことになります。大納会で16,000円台に乗せることとなれば、年足での「陽の大引け坊主」となりますが、これはかなり珍しいのではないでしょうか。期待したいところです。

さて、「テーマを読み解く」とした本コラムですが、16回目となる今回はクリスマス商戦を取り上げてみたいと思います。11月以降、クリスマス商戦という言葉はマスコミや相場解説でもよくご覧になると思います。実は電子部品などでは、「クリスマス商戦向け製品の造り込み」ということで夏場から受注が入るようなケースも少なくありません。そうなると、なんだか年中クリスマス商戦という印象となってしまい、季節感もなにもなくなってしまうのですが(笑)。実際、読者のみなさまもご家族や友人・恋人向けにクリスマスの買い物をされたりしているのではないでしょうか。そこで、このクリスマス商戦というものを一度おさらいしておきたいと思います。

そもそもは、感謝祭からクリスマス直前までの言うならば「米国の歳末バーゲン」と考えてよいでしょう。クリスマスは米国において最大の行事の一つでもあることから、この時期の消費は年間の帰趨を決めるくらいの影響度を持ちます。日本に当て嵌めると、盆と正月を併せた感じかもしれません。しかも、米国ではGCPの7割を個人消費が占めているため、この動向が米国景気を占ううえで注目されることになります。日本でも個人消費はGDPの約6割を占めますが、日本では盆と正月に加え、中元や歳暮、年度代わりの行事などが多くあり、消費時期も分散しているため、米国ほどにはクリスマス商戦が意識されることはありません。対照的に、世界最大の輸入国である米国の消費動向は、米国景気といったマクロ的なインパクトだけでなく、モノの流れという実物経済から見ても非常に大きな影響を与える指標となるのです。今年は日程的にタイトであるため、営業日の少なさがクリスマス商戦の不安要因として多く指摘されましたが、これまでのところ客足は順調のようです。ただし、最近はネット販売のウエイトが増えており、見かけ上の小売売上では消費動向が把握し難くなっているのも事実です。そのせいか、直近の株式相場はクリスマス商戦よりもさらにその先行指標とも言える雇用統計などへの注目度を高めているようです。

株式投資を考えるうえでは、ミクロの方が重要となります。かつては、ゲームなどがその代表銘柄でした。新作はクリスマス商戦に合わせて発表・発売をするのが通常で、そこでの評価・反応が業績、株価を決める大きな決定要因となっていたのです。携帯電話もそういった傾向が顕著でした。しかし、今やゲームはオンライン化されたことでマーケティングスタイルが大きく変化してしまいました。携帯電話もクリスマスの特別なもの、というアイテムでは既になくなっており、クリスマス商戦と関連付けることは徐々になくなってきています。現在はクリスマス商戦で注目されるアイテムが減少傾向にあるのが実態と言えるのです。クリスマス商戦は折に触れて注目される重要な指標であることに変わりはありませんが、マクロ指標としてもミクロ指標としても投資へのインパクトはかなり低下しており、注目度の割に実はかなり使いづらい指標となっていることも認識しておくべきでしょう。


コラム執筆:長谷部 翔太郎

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