第17回 2014年王道の3テーマを読み解く 【市場のテーマを再訪する。アナリストが読み解くテーマの本質】

マネックスメール編集部企画の特集コラムをお届けします。

第17回 2014年王道の3テーマを読み解く 【市場のテーマを再訪する。アナリストが読み解くテーマの本質】

みなさん、こんにちは。『今どき、株で儲けるヤツは、「業種別投資法」を使っている』著者の長谷部翔太郎です。本日は2013年の大納会です。原稿を書いている段階ではまだ結果がわかっていないのですが、ここで最高値を更新し、年足での「陽の大引け坊主」となりましたでしょうか。実に2013年は大相場の一年となりました。異次元緩和とアベノミクスで幕を開けた本年の株式市場は、調整局面は何度かあったものの、結果を見れば非常に良好な推移であったということができるでしょう。2012年までは相場に全くと言ってよいほど勢いがなかったことを考えれば、まさに雲泥の差でした。長年、市場で生きてきた人間にとっても、2013年は忘れられない相場であったように思います。

では、2014年の相場はどうなるのでしょうか。「テーマを読み解く」とした本コラムの17回目は、無謀ながらも2014年におけるテーマを考えてみたいと思います。既にいろいろなストラテジストや株式評論家の方々が2014年のテーマに言及していますが、ここでは王道とも言える3つのテーマについて、アナリストの視点で考えてみたいと思います。

まず最大のテーマとなるのは消費税でしょう。3月までは駆け込み需要が、4月以降はその反動が、否が応でも注目されることになります。既に消費税そのものは市場に織り込み済みの材料ですが、実際にどの程度のインパクトになるかは誰も予想がついていません。消費税引上げがあっても景気への影響は軽微との声もある一方、これで相当に景気は足踏みを強いられるとの声も少なからず聞こえるのが実状です。市場も消化しきれていない材料である可能性は大きいと見ます。また、このコラムではかつて、消費税関連で電子マネーを取り上げたことがあります。実際、その動きは早くも出始めており、例えばJR東日本では電子マネーでの運賃決済と切符運賃で差が生じるようです。こういった動きは電子マネーの加速も含めて、要注目と考えます。ちなみに、景気楽観論者は特にマクロ景気をウォッチされている方が多く、悲観論者はミクロ景気を見ている方が多い印象です。ここらも掘り下げると興味深いものがあるかもしれません。

次いで為替を取り上げたいと思います。2013年は円安が(特にメリット銘柄の)多くの株価に影響を与えました。実際、年末時点の為替は年初来の円安水準に、株価は年初来の高値水準と、2013年は一年を通して円安=株高の構図にあったと言えます。ですが、2014年は少し違った面で出てくるのではないか、と考えています。これは、原発の停止以降、円安はエネルギーコストの上昇に直結するようになりました。既にエネルギーコストは相当に上昇していますが、これ以上のコスト高は許容範囲を越えてくるリスクがあります。もちろん、それ以上の付加価値を確保できる企業は問題ないのですが、そうではないケースも今後は増えてくる可能性が否めません。拡大が期待される企業の設備投資も、コスト高を嫌って国外に振り向けられることも予想されます。2014年は為替と株価の相関が薄れ、個別銘柄は別として、テーマとしての為替はややその重要度が低下してくるのではないか、といったシナリオを考えられます。

3番目には、地政学リスクを挙げます。ここにきて、中国の内政不安、防空識別圏設定、北朝鮮の高官失脚・処刑といった不安定要因が噴出してきました。北東アジア地域で地政学的緊張が高まることとなれば、株式市場はもちろん、我が国自身もその影響から逃れることはできなくなってしまいます。しかも、国益のための断固たる姿勢は当然ではあるものの、中国、韓国とのトップ対話が途切れて早や1年を超えているという状況も、咄嗟の対応への不安要因となりかねません。杞憂に終わることを望みますが、2014年はこのリスクを過小評価するべきではないと考えています。

こう考えると、王道の3テーマは決して楽観的とは言い難いものがあります。焦点は、これらを個人消費や設備投資、公共投資といった景気拡大で吸収できるかどうか、ということになるはずです。とすれば、自ずと2014年に向けての投資戦略も見えてくるのではないでしょうか。波乱の2013年もそろそろ終わります。みなさま、よいお年をお迎えください。また来年(といっても来週ですが(笑))、お目にかかりましょう!


コラム執筆:長谷部 翔太郎

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