第94回 2014年も国策に逆らうな、だが・・・・ 【大橋ひろこのなるほど!わかる!初めてのFX】

マネックスメール編集部企画の特集コラムをお届けします。

第94回 2014年も国策に逆らうな、だが・・・・ 【大橋ひろこのなるほど!わかる!初めてのFX】

日本がお正月で休場となっている間、欧米市場で為替相場は比較的大きな動きを見せました。特にこれというリスクとなるようなニュースが出たワケでもないのに、2日、2014年の取引初日のダウ平均は135ドルもの大幅安となり、ドル/円相場が104.05円近辺までの円高進行というリスクオフ相場からの幕開けとなったのです。

皆様、明けましておめでとうございます。2014年もコラムタイトルである「初心者の方にも解りやすい」コラム執筆を心掛けて参りますので、どうぞよろしくお願いいたします。

2013年の大納会に向けて株式市場は9営業日連続で年初来高値を更新するという高値引けとなっていただけに、大調整が来るかもしれないとヒヤリとさせられた向きも多かったと思いますが、やはり4日大発会の日経平均も382円安の大幅反落でスタート、6年ぶりの大発会下落で波乱の幕開けとなりました。
大発会の相場の急変は年末までの上昇の勢いから考えると当然のスピード調整、意に介さず、と言う見方も多いのですが、6日のNY時間にはドル/円相場が一時104円の大台を割り込み、日経平均先物もじり安の様相を呈しています。今週は10日金曜日が株式市場ではSQが意識され、為替市場では米国の12月の雇用統計の発表というイベントが控えているために、材料待ちの状況にあり、年末につけた高値を目指して積極的に買われる流れにはなりにくいと思います。2013年の幕引きがあまりに上出来だったために、2014年は随分ハードルが上がってしまった状況でのスタートとなってしまったのですが、今年も基本的には「国策に逆らうな(中銀に逆らうな)」です。アメリカが2013年12月に量的緩和の縮小開始を発表、出口に一歩踏み出したことで、ドルには先高感が大きい。将来の金利上昇の思惑も日米の金利差を拡大させていくでしょうから、ドル買いは継続していくと思われます。一方で日本は2013年に異次元緩和策に着手したばかり。2013年、日米の金融政策が全く反対方向に舵を切ったことで、円安ドル高トレンドは揺るぎないものとなりました。今年も基本路線は円安ドル高トレンドに乗る方向のトレードでいいと思いますが、ただし、現在の値位置から2014年も2013年相場のようなパフォーマンスを演じるのは難しいと考えたほうがいいでしょう。

2013年は、日経平均は56.7%もの上昇を見せました。1.5倍以上になったということですので、仮に2014年、16,000円台ス タートの日経平均が1.5倍のパフォーマンスを見せれば25,000円を超えることとなりますね。80年台のバブル時の水準へと一気に駆け上がるというのはさすがに考えにくく、専門家らの予想平均は18,000円から22,000円と比較的落ち着いています。また、ドル/円相場は2013年86.71円で寄り付き105.31円でクローズ、21.8%もの上昇(円安進行)となったのですが、105円から計算して、同じように20%もの円安が進行する計算だと126円。2007年の円キャリートレード全盛期124円までの円安があったことを考えると、決して非現実的なレベルではないのですが、2年続けて20%も円の価値が下がってしまうというスピードで円安が進行してしまうと弊害も大きく、その勢いには抑止力も働いてくるものと思われます。日本は現在原発が止まったままです。エネルギーは輸入せざるを得ないため、膨大なLNG輸入が貿易赤字を拡大させてしまっているという構造的な円安要因もありますので、円安地合いは変わらないのですが、アベノミクスも賃金上昇が伴わないうちに物価の急激な上昇を招くこととなれば副作用が大きく、失敗に終わるリスクに繋がりかねません。実際に11月の消費者物価指数は「生鮮食品を除く総合(コア指数)」は前年同月比でプラス1.2%と先月の0.9%から大幅上昇、「食料及びエネルギーを除く総合(コアコア指数)」も0.6%の上昇で、こちらも先月から0.3ポイントの増加となり、物価上昇のトレンドがより明確になってきています。異次元緩和政策がもたらした円安によって日本がインフレに転換したことはほぼ間違いない状況となってきました。安倍首相は、6日、年頭会見で「今年春こそ、景気回復の実感を収入アップの形で国民に届けたい」と述べられていましたので、大いに期待したいところではありますが!!

株価はどれだけ上昇しても困るということはありませんが、通貨のあまりに急激な変動は弊害が大きいため、2013年と同様のスピードで円安が進む可能性は極めて低いと考えています。むしろ1~3月に100円を今一度割り込むような調整があっても何ら不思議はなく、目先は年末に進んだ円安の修正局面となるものと見ています。


コラム執筆:大橋ひろこ

フリーアナウンサー。マーケット関連、特にデリバティブ関連に造詣が深い。コモディティやFXなどの経済番組のレギュラーを務める傍ら、自身のトレード記録もメディアを通じて赤裸々に公開中。

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