第98回 1月アノマリーでは2014年は円高の年に?! 【大橋ひろこのなるほど!わかる!初めてのFX】

マネックスメール編集部企画の特集コラムをお届けします。

第98回 1月アノマリーでは2014年は円高の年に?! 【大橋ひろこのなるほど!わかる!初めてのFX】

1月のドル/円相場、月足チャートは陰線となりました。1月の月足が陽線となるか陰線となるかが、この1年の相場を占うと言われる1月アノマリー。1月の月足が陽線で上昇して終えることが出来れば、年足も陽線に。反対に1月の月足が陰線で終われば年足も陰線となり下げ続けるというものですが、1972年から2013年まで1月の月足と年足の整合性は約61%なのだそうです。61%くらいなら気にすることはないとも思いますが、ニューヨーク株式市場における1月アノマリー確率はなんと80%にも上るとか。ダウ平均が1月陰線引けとなったことで、昨年12月からQE3緩和マネーの縮小を開始し、金融政策の転換に舵を切ったアメリカの決定が正しかったのか否かが気がかりとなって来ました。仮に米株が今年下落に転じた場合でも、安倍トレードとして囃されて上昇してきた日本株が買われることはあるのか?!日経平均は節目である15,000円を割り込み心理的悪化から弱気が台頭してきました。日経平均が上昇できないとなると、ドル/円相場の上昇も難しくなってきます。

またドル/円相場のチャートを見ると、2007年の高値124円14銭から2011年の安値75円32銭まで4年間継続した円高の下落トレンドの61.8%戻しが105円49銭であることから、1月2日につけた105円45銭が天井となり、反落するのではないかという見方も広がりつつあります。さて、2014年は安倍トレードと言われたアベノミクス、日銀の追加緩和効果は剥げ落ちてしまう1年となってしまうのでしょうか。

現在、相場が崩れてきた背景には、米国の量的緩和縮小によって新興国投資が引き上げられていることによる新興国通貨の急落が話題となっていますが、これは昨年からのずっと続いていることで今に始まったことではありません。先般アルゼンチンが通貨安防衛の介入をやめたことが引き金となり、通貨ペソが急落し世界の金融市場が混乱しましたが、アメリカはこの騒ぎの中も1月のFOMCでも追加の量的緩和縮小策を発表しており、新興国経済の悪化は今後の米国経済の足を引っ張るものではないといったスタンスを示しています。アメリカの金融政策を信じるならば、新興国経済の低迷を懸念する必要はないということになります。

また先週31日金曜は特に、米系ヘッジファンドのスカウトキャピタルマネジメント(運用資産67億ドル)とJOHOキャピタル(運用資産50億ドル)が運用悪化からファンドを閉鎖するとしたニュースがありました。これらのファンドの日本株買いポジションとドル/円の買いのポジション解消の売りが入るという思惑が相場をさらに崩してしまったものと思われます。こうした特殊要因によるポジションの巻き返しが終了すれば、短期的な混乱は治まるものと思います。

そして忘れてはいけないのが日本の貿易赤字。昨年は初めて10兆円の大台を突破し、11兆4745億円と前年に比べなんと約4兆5000億円も増加しました。原発の稼働停止に伴う火力発電向け燃料の輸入の増加で貿易収支は約2兆6000億円悪化したとされています。また、日本は長く続いた円高に対処するために生産拠点を海外にシフトしており、そもそもの輸入が増えているため、アベノミクスによる円安で様々な製品の輸入コストが上がっていることもさらなる円安を招いてしまっています。

円安になれば、輸出企業が利益を上げるので結果また円高圧力が高まるという指摘もあるのですが、現在までのところ、日本の輸出企業は円安効果を生かし切れず輸出が伸び悩んでいます。2013年のドル/円相場は20%超も円安となったのですが、輸出金額は約10%の増加にとどまっています。輸入金額は15%増です。

こうした構造的な変化が円安を招いていることを忘れてはなりません。1月相場から波乱含みで短期的な調整が大きいことから、すでに上昇相場が終わってしまったような錯覚に陥ってしまいますが、もしこれが調整であるなら、相場は重要なチャートポイントまで到達すれば下げ止まり、反騰開始となるはずです。2012年77円台から105.45円のフィボナッチリトレースメントでは38.2%押しが95円前後。今年は年間通じてこのレベルの円高がある可能性を覚悟し、そのレベルまで近づいてきたらドルを買うという戦略で行こうと思います。ということで、テクニカルポイントはまだまだ下にあるため、目先はまだ円高のリスクにご注意。


コラム執筆:大橋ひろこ

フリーアナウンサー。マーケット関連、特にデリバティブ関連に造詣が深い。コモディティやFXなどの経済番組のレギュラーを務める傍ら、自身のトレード記録もメディアを通じて赤裸々に公開中。

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