第100回 「ドル安商品高」リスクオン相場の様相に?! 【大橋ひろこのなるほど!わかる!初めてのFX】

マネックスメール編集部企画の特集コラムをお届けします。

第100回 「ドル安商品高」リスクオン相場の様相に?! 【大橋ひろこのなるほど!わかる!初めてのFX】

ドル/円相場は1月2日に105.45円の高値を付けてから、じりじりと円高となり、2月3日には100.77円と100円台にまで下落しました。2月に入ってからは下値は固く切り上げてきているものの、揉み合いが続いています。日本はアベノミクス、異次元緩和継続で円安、アメリカはテーパリング(量的緩和縮小)を開始しているため、緩和マネードルが縮小していくということでドル高、結果、日本側からの材料、アメリカ側からの材料も「ドル高円安」相場トレンドを支援するもので、2014年はドル/円相場が110~120円まで上昇する、というこが大勢だったのですが、何故今、このトレンドが見えないのでしょう。

ドル/円相場だけ見ると2月中はレンジの範囲内での推移ですが、ドルインデックスという米ドルの総合的な価値を示す指標を見ると2月に入ってから急激にドル安が進行しています。一方で国際商品先物価格のインデックスが急騰中。1月から金や原油などが騰勢を強めていましたが、2月に入ってからは季節要因的には売り圧力が強いとされる穀物市場まで上昇しており、完全に商品個別の材料で買われているというより「ドル安」による商品高と思われます。ユーロ/ドル相場を見ると綺麗に2月からユーロ上昇となっていますね。

つまり、ドル/円相場は揉み合いに見えるのですが、全般のマーケットは「ドル安、商品高」となってきており、1月は比較的大きな調整が入ったアメリカの株式市場も2月は非常に堅調。雇用統計や住宅指標などこのところ発表される経済指標が軒並み悪化しているのにもかかわらず、です。1月のアメリカの景気指標が悪化しているのは寒波の影響による一時的な下振れという解説で折り合いがつけられているようですが、ドルが売られることは理解できても、株がこれほど堅調推移となっていることを訝しがる向きもあるでしょう。しかし今、起こっていることは「ドル安、株高、商品高」なのです。日本株も1月は大きめの調整が入りましたが、2月に入ってからは下値切り上げ型のレンジ相場となってきています。つまり、典型的なリスクオン相場の様相を呈し始めているのです。

何故、アメリカの経済指標が悪化しているのにもかかわらず、リスクオン相場となっているのか?一つには、アメリカの失業率が思いのほか早く改善してきたことが上げられます。

先週2月19日に公表された1月28、29の両日開催のFOMC議事録では、失業率が6.5%を下回るまで事実上のゼロ金利政策を維持する従来の方針を近く見直す必要があるとの見解で一致したとの内容が確認されました。

FRBは2008年終盤以降、政策金利をゼロ付近に維持していますね。少なくとも失業率が6.5%に低下し、インフレ見通しが2.5%を上回らない限り、低金利を維持する方針を示しきました。ところが、2014年1月の失業率は6.6%にまで低下しており、6.5%が目前。金利引き上げが議論される時期が来ていると判断するには、あまりにもNFP非農業部門雇用者数が冴えません。イエレン議長は今月、「労働市場の完全なる回復には程遠い状態だ」と述べており、テーパリングに続き低金利政策の見直しをするには時期尚早であることから、当局は低金利政策路線の維持を目指すためのこれまでのフォワードガイダンス(中央銀行が金融政策の先行きを明示する指針で、いわゆる「時間軸効果」をもたらす条件のこと)の変更を余儀なくされるだろう、という思惑が先行して米国の金利を低く抑えているため、米国長期債の利回りが低下傾向にあり、ドル安が進行しているものと思われます。低金利政策は長期化されるだろうという安心感が、リスクオン相場に繋がっているものと考えられます。

ということで、この見通しが間違えていなければ、リスクオン相場であるということです。日本株も下値を切り上げていることですし、この流れが続くうちは押し目買いでよさそう。そして、ドル/円相場はドル安に頭を抑えられるも、リスクオン相場では円安が進行する形となりますので、テクニカルの節目突破で、円安圧力が高まるものと思われます。102・50円の下値を固めることができるならば、じりじりと円安進行となりそうな気配がしてきました。ただし、今年の高値を超える強いトレンド発生というほどのものではないと思います。ターゲットは3月に向けて半値戻しの103円、あるいは61.8%戻しの103.60円近辺と言うところではないでしょうか。


コラム執筆:大橋ひろこ

フリーアナウンサー。マーケット関連、特にデリバティブ関連に造詣が深い。コモディティやFXなどの経済番組のレギュラーを務める傍ら、自身のトレード記録もメディアを通じて赤裸々に公開中。

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