第22回 資源を読み解く 【市場のテーマを再訪する。アナリストが読み解くテーマの本質】

マネックスメール編集部企画の特集コラムをお届けします。

第22回 資源を読み解く 【市場のテーマを再訪する。アナリストが読み解くテーマの本質】

みなさん、こんにちは。『今どき、株で儲けるヤツは、「業種別投資法」を使っている』著者の長谷部翔太郎です。まずは2月に来襲した大寒波により、被害に遭われた方に心よりお見舞いを申し上げます。一日も早い復旧をお祈りしております。

荒天となった2月でしたが、3月を迎えて少しずつではありますが、暖かい日差しが指すようになってきました。そろそろ花粉のシーズンとなってきましたが、こちらに関しては今後どこかでテーマとして取り上げてみたいと思っています。なお、相場は引き続きボラティリティの高い展開が続いています。通常、こういった荒れ気味の相場の場合は徐々に落ち着きを取り戻すというよりも、ある時に大きく跳ね上がって(あるいは暴落して)沈静化することが多いように経験的に感じています。「節分天井、彼岸底」の相場格言も無視できません。新興国の景気懸念、消費税増税などの悪材料を考えれば、先行きはかなり波乱含みの様相にあるように思っています。

さて、今回は「資源」をテーマに取り上げてみたいと思います。前回取り上げた「エコカー」と同様、資源も数年前に大きく注目され、相場の大きな柱となったテーマです。当時は新興国の躍進、例えば中国の「爆食」とも形容される需要拡大をきっかけに、地球上に偏在する資源価格が高騰し、それに伴って強烈な囲い込み競争が起こりました。資源バブルとも言われたのを覚えておられる方も多いでしょう。積極的な投資を背景に、日本でも総合商社が「資源メジャー」の一角として注目され始めたのもこの頃です。リーマンショックでは一旦大きな調整を余儀なくされましたが、資源価格も資源関連会社の株価もその後は比較的早くに値を戻し、現在もバブル期ほどではないですが高水準を維持しています。

注目すべきは、この値持ちの良さです。実は「バブル」と評された後に株価が高水準を維持するケースはあまりありません。平成バブル、ITバブル、リーマンショック前の不動産バブルなど、その牽引役となった銘柄は往々にしてその後大幅かつ長期的な低迷を強いられているのがほとんどです。それらの銘柄はバブル期には実態を大きく上回る過剰な期待が発生し、それらが株価にパンパンに織り込まれてしまうためです。そして供給体制が(過剰な)期待に見合う水準まで引き上げられたところでバブルが破裂すると膨大な過剰能力(在庫)を抱え込むことになり、その処理に相当の時間とコストを要してしまうのです。その結果、株価は「半値八掛け二割引き」という水準まで叩き売られてしまった例も少なくありません。

では、何故資源株(資源価格)はそこまでの調整がなかったのでしょうか。要因は幾つかありますが、一つには偏在しているという特性上、簡単に供給拡大を図れなかったという面があります。しかし、より大きなポイントとしては、やはりそれだけ需要が底堅かったことに尽きるといってよいでしょう。多くのバブルは破裂すると需要が雲散霧消してしまいますが、資源の場合はそうならなかったのです。現在、世界の人口に占める途上国、新興国の割合は実に80%を占めており、リーマンショックがあろうとなかろうと、成長を始めた地域や国では社会インフラやエネルギーへの投資拡大が必要不可欠であったためです。そういった観点では、資源バブルは実需に裏打ちされており、実はバブルではなかった、とも言えると考えています。

むしろ、真価が問われるのはこれからでしょう。それだけの躍進をした新興国では、既に物質的な不足感はかなり緩和されてきています。その一方で急成長の反動として様々な綻びもここにきて出始めてきました。通常のバブルのように、需要が一気に冷え込んでしまうのかどうか。それとも、経済成長を巡航速度に乗せて底堅い需要を提供するのか。資源バブルに関しては、これからがその正念場ということになるかもしれません。

コラム執筆:長谷部 翔太郎

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