第24回 ワールドカップを読み解く 【市場のテーマを再訪する。アナリストが読み解くテーマの本質】

マネックスメール編集部企画の特集コラムをお届けします。

第24回 ワールドカップを読み解く 【市場のテーマを再訪する。アナリストが読み解くテーマの本質】

みなさん、こんにちは。『今どき、株で儲けるヤツは、「業種別投資法」を使っている』著者の長谷部翔太郎です。早いもので今日は年度末。これまでは毎年のように株式評価損の計上を強いられていましたが、2013年度はどうもそういった心配はあまりしなくて済むようです。やはり財務の足枷が一つなくなるということは好材料に間違いありません。少しずつ、これまでの頸木が緩和されてきているように感じています。とはいえ、最近の懸念は株価の軟調です。クリミア問題や中国経済の減速、消費税の引き上げなど、懸念材料は目白押しとなっています。これまで「節分天井、彼岸底」という相場格言を何度か引用してきましたが、どうも「彼岸底」であったとの確信はまだ持てないのが率直なところでしょう。

そういった中、今回は「サッカーワールドカップ」をテーマに取り上げたいと思います。2014年FIFAワールドカップは、この6月からおよそ一か月間、ブラジルで開催される予定です。あと一か月もすれば、巷の話題にはワールドカップ一色になるのではないでしょうか。オリンピックや野球のWBCのように、今回もおそらくは多くの方が手に汗を握って応援されることと思います。かくゆう筆者も徹夜を辞さない覚悟で(笑)、一所懸命応援するつもりでいます。

当然、それほどの盛り上げりになるだろうことを考えれば、そこにビジネスチャンスも出てきます。ワールドカップ関連となると、スポンサー企業やTV放映権を巡る関連企業、さらには選手をイメージキャラクターに採用している企業などが注目されると予想されます。また、応援グッズの販売、応援ツアーと銘打ってキャンペーンを仕掛ける旅行会社なども、そのメリットを享受する可能性があります。裾野は広く、関連する企業が多い分、業績に大きなインパクトが生じる企業も少なくないはずです。これらは今後、多くのメディアなどでワールドカップ関連銘柄として取り上げられることになるでしょう。しかし、それではあまりおもしろくありません。このコラムではもう少し踏み込んで、別の見方をご紹介してみたいと思います。

そもそも、そういったイベント関連と銘打たれたテーマ株で、実際に株価が大きく変動したケースはあるのでしょうか。いろいろ面白おかしく報道はなされますが、現実には極めて一過性の株価の反応に過ぎないというのが実情でしょう。このコラムでは何度も触れている「現実にそれで誰が得をするのか」という視点は重要で、短期間のイベントでは単なるブームによる特需の域を超えることはまず難しいと思ってよいでしょう。この点はしっかりと認識いただく必要があります。この手の「テーマ」には深追いは禁物なのです。

しかし、今回はかなり興味を持って見ています。6月というのは「消費税増税の影響」がちょうど鮮明になってくる時期です。このタイミングが実に絶妙と言えるのではないでしょうか。多くのマスコミ報道などでは、消費税増税の影響は7-9月期にも概ね消失するとの見方が一般的なように思われます。株式市場はもう少し慎重な見方にあるようには感じますが、少なくとも現時点ではまだ増税の影響や駆け込み需要の反動がどの程度になるのかは全く予測がつきません。そういった中、かなりの消費が喚起されるイベントが行われることになるのです。もちろん、高額商品などは駆け込み消費の反動が少なからずあると見るべきでしょうが、通常の生活支出における「買い控え」は気分的な要因で大きく左右されると考えます。ワールドカップの盛り上がりが「買い控え」気分を払拭すれば、7-9月期にも影響一巡となる可能性は一気に高まるのではないでしょうか。後から考えれば、「ワールドカップ効果は日本代表チームをさらに強くすると同時に、日本経済にも大きく貢献した」と言われるようになれば、と期待しています。

コラム執筆:長谷部 翔太郎

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