第67回 全国一斉大学入学試験 【北京駐在員事務所から】

マネックスメール編集部企画の特集コラムをお届けします。

第67回 全国一斉大学入学試験 【北京駐在員事務所から】

中国では、6月7日(土)と8日(日)の二日間、全国一斉の大学入学試験「全国普通高等学校招生入学考試(高考)」が行われます。
日本の大学入試センター試験に相当するものですが、日本ではセンター試験に加え、多くの大学が独自の試験を行うのに対し、高考は一発勝負で、これの結果のみで、各大学への入学の合否が決定されます。
韓国の大学入試(大学修学能力試験)も激烈な競争と言われますが、高考は受験者数も多く、受験生や家族のプレッシャーは大変なものがあります。

昨年の受験者数は約912万人で、今年はさらに増加すると見られています。アジアで最大規模の試験だそうです。
日本の大学入試センター試験の志願者数が毎年60万人弱ですので、スケールの大きさがお分かりいただけることと思います。

近年、高考では携帯電話のカメラ機能や盗聴器などを利用した不正行為が毎年発覚しており、政府の教育部(日本の文部科学省に相当します)や高考を統括する各市、省の関係機関は、対策に躍起となっています。
教育部と各地方政府の試験監督機関は、このほど公正で透明性のある入試の実施に向け、協定を締結しました。関係機関が協力して、不正行為の撲滅と試験期間中に発生しうる事故、トラブルへの適切な対応を図るとしています。
不正行為の防止策には、監視カメラの設置、試験会場の無線電波遮蔽などが含まれます。

東北部、吉林省の省都長春市では、志願者が昨年から6%増の50,482名となりました。試験会場で監督に当たる人員は3,254名に達するそうです。
同市の教育部では、志願者とその両親から、不正行為を行わない旨の誓約書を取りつけ、あわせて各試験会場の定員を1,200名以下とするなど、トラブルの回避策を講じています。
担当者は、同市が2,000万元(約3.2億円)を投じ、無線電波の妨害設備等を設置したと述べていました。
長春市は人口300万を超える大都市ですので、3億円は特別大きな支出ではないのかもしれませんが、高考の重要性あるいは注目度がうかがえる話ではあります。

このように、当局は様々な手を打っていますが、悪意の受験者に対抗することは容易ではありません。
今年も、新たな手段を用いた不正行為が行われるのではないかとの心配の声が聞かれます。
「終わりなき戦い」になるのは避けられないのでしょうか?

日本では、景気回復で来年3月の大学・大学院卒業予定者の就職に明るさが見えているとも伝えられていますが、中国では年々大学進学率が上昇し、また何と言っても学生の絶対数が多いので、卒業後の就職も大変です。
そのため、有名大学、難関大学への入学は大変な競争となります。
一人っ子政策のもと、手塩にかけて育てた息子、娘の将来が懸かる大一番ということで、家族も巻き込んでの闘いです。6月ですので、日本のセンター試験のように雪でトラブルといった事態は起きませんが、2日間の長丁場、試験が無事に行われ、受験生が各自の持てる力を十分に発揮できるよう願いたいと思います。

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コラム執筆:長野雅彦 マネックス証券株式会社 北京駐在員事務所

マネックス証券入社後、引受審査、コンプライアンスなどを担当。2012年9月より北京駐在員事務所勤務。日本証券アナリスト協会検定会員 米国CFA協会認定証券アナリスト

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