マネックスメール編集部企画の特集コラムをお届けします。
サッカーワールドカップブラジル大会が明日12日(木)(現地時間)に開幕します。中国代表はアジア3次予選で敗退し、本大会への出場は叶いませんでしたが、サッカー人気の高いお国柄ということで、新聞、テレビやショッピングセンターの広告などへの関連の報道、露出が急増しています。
お祭り気分に便乗しようということで、様々な業界が販売促進に動き、業績の向上を図っています。
新聞記事では、スポーツウェアのメーカー、販売店が追い風に期待と報じられていました。
スポーツウェアの業界各社は、在庫増等で長く苦境にあり、今年の初めあたりからようやく業績が回復し始めたそうで、ワールドカップ景気への期待は大きいとのことです。
もっとも、サッカー関連のウェアの市場規模は大きくないため、販促効果は一時的なものにとどまり、各社は流通網の効率化や店舗のスクラップアンドビルドなど、今後も様々な施策を継続的に講じていく必要があるとも指摘されています。
恩恵が及ぶのかはいささか疑問ですが、上海総合指数が2000ポイント前後で一進一退を続ける中国株式市場でも、今月は投資家心理が好転し、また食品、飲料等の業種で業績好転が見込まれるとの見通しから、株価上昇に期待する声が聞かれます。
一方、旅行大手各社は、現地観戦ツアーを企画したものの、試合のチケットや宿泊施設が十分に確保できず、また代金が100万円から500万円にも達するため、極めて小規模の催行とせざるを得なかったそうです。それでも、成立したツアーは、いずれも満席となっており、時間とお金、そして熱意のあるファンは世界中に存在することがわかります。
そしてもう一つ、ワールドカップ景気への便乗をもくろんでいるのが、ビールメーカーとネット通販業者です。
既に真夏の陽気の中国では、ビールを手にテレビ観戦というのが最高です。メーカー各社のキャンペーンに加え、ネット通販業者も、「重いビールは無料配送の通販で」と宣伝に熱を入れています。
最大手の「青島ビール」を初め、メーカー各社は商機を逃すまいと増産と在庫積み増しに動いており、また通販大手やネットスーパーは、大幅値引きと無料配送を謳い文句に、顧客の獲得を図っています。
先週、6月4日(水)に、ネット通販サイト大手のTmall(天猫)では缶ビール160万本の注文があり、売上高は625万元(約1億200万円)を記録しました。南部広東省の顧客は、1注文で15,592元(約25万円)分のビールを購入したそうです。
消費者から見ると、配達サービス付きで、しかも価格も一般の酒店やスーパーマーケットよりも割安だそうですので、通販に人気が集中するのも当然です。
ビールに加え、ネット通販ではワールドカップ出場国の関連グッズも人気で、開催国ブラジルを筆頭に、連覇を狙うスペインやドイツ、オランダ、イングランドなどの商品が販売好調だそうです。
上海在住のサッカーファンの男性は、「試合開始前に外出する必要がなくなるので買い物は通販に限る」と話していました。
7月13日(日)(現地時間)の決勝までの1ヶ月間、外出を控えテレビにかじりつきとなる人々が増えることでしょう。どうやら、最も恩恵を受けるのはネット通販と配送の業者になりそうです。
日本でも、15日(日)の初戦対コートジボワール戦から大いに盛り上がることでしょう。
是非予選リーグを勝ち抜き、過去最高のベスト8あるいはそれ以上の成績を得られるよう、期待したく思います。
日本代表が勝ち進めば、中国でのもくろみと同様、食品や飲料、外食等の業界には追い風となり、さらには株式市場にも好影響が見込まれます。とは言っても、ここはこの際、ビジネス抜きで、日本代表の活躍と中国での露出増加を楽しみに、北京から精一杯応援することといたします。
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コラム執筆:長野雅彦 マネックス証券株式会社 北京駐在員事務所
マネックス証券入社後、引受審査、コンプライアンスなどを担当。2012年9月より北京駐在員事務所勤務。日本証券アナリスト協会検定会員 米国CFA協会認定証券アナリスト
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