マネックスメール編集部企画の特集コラムをお届けします。
みなさん、こんにちは。『今どき、株で儲けるヤツは、「業種別投資法」を使っている』著者の長谷部翔太郎です。心待ちにしていたサッカーのFIFAワールドカップも、あっという間にグループリーグが終わり、舞台は決勝トーナメントへと移行しました。日本は残念ながらベスト16に入ることはできませんでしたが、これも越えるべき世界の厚く高い壁を知るための糧になれば、と思います。代表選手の健闘を讃えつつも、より高みを目指して日本サッカーのさらなる進化を願って止みません。と言っているうちに6月は今日で終わりとなり、明日からは2014年も後半戦に入ります。みなさま、この半年はいかがでしたでしょうか? 年初に計画されたことは順調に実行・達成されていますでしょうか。自らを振り返ってみると、なかなか思ったような結果は出せていません。筆者も後半戦は気分を一新して、巻き返しを図っていきたいと思っています。
さて、今回取り上げるテーマは「中国」です。5月初めより中国景気への先行き懸念が後退し始めたことを受け、資源・商社といった関連銘柄の上昇が目立っています。大手商社株は実に4年ぶりの高値にまで到達してきました。シャドーバンキングの存在や不動産市況の低迷など、これまで中国景気に関する不安要素には事欠かなかったのですが、いくつか景気堅調を示すマクロ指標が相次いだことを好感した流れとなっています。株価を見る限りは、一部で懸念されていた「中国バブルの崩壊」リスクはかなり後退したように思えます。何年も前から中国景気の不安説は出ていましたが、そういった事態に依然として至っていないという現実を背景に、一部ではオオカミ少年的な捉え方をする向きもありました。直近の経済指標や株価はまさにそういった見方をサポートする展開となっています。
とはいえ、シャドーバンキングの不透明感は依然として残っているうえ、ゴーストタウン化の指摘もあるほど供給過剰となっている住宅は市況の落ち込みがまだ継続しています。中国景気不安説をオオカミ少年と言い切ってしまうには、依然として大きな不安があるというのも事実でしょう。中国はまさに好悪双方の材料が存在している状況にあるといえます。どちらのシナリオを採用するか、株式投資を考えるうえではなかなか判断が難しいところです。
ここでは、その好悪材料の中身を分けて考えてみましょう。現在の好材料は景気堅調を示す経済指標が主ですが、これらはいずれも「フロー」のデータです。一方、悪材料として捉えられる住宅の供給過剰や金融不安は「アセット」のデータです。実はフローとアセットで好悪が綺麗に分かれているのです。そして、アセットの方は以前から指摘されていたことで、材料としては決して目新しいものではありません。実際、株式市場はアセットの悪材料が今後フローに伝播していくかもしれない、という懸念を徐々に織り込んでいたフシがあります。そういった中での好材料出現です。一般に方向性の異なるデータの出現は大きなトレンド変化を示唆している可能性があるため、直近の株価はそういった逆回転リスクに大きく反応したのだと言えます。投資家としては、フローの改善がアセットの負の資産を解消に導くような逆回転が本当に始まるのか、やはりアセット面での負の資産の影響には抗し切れないのか、が見極めのポイントになるわけです。
当然ながら、現時点でどちらに転ぶかがわかるはずもなく、正解を求めることはできません。しかし、これほど相場格言でもある「『まだ』は『もう』なり、『もう』は『まだ』なり」が重要なテーマはないように思います。今やGDPでは世界2位にある中国です。いずれに転んでも相当のインパクトが日本株にもあることは容易に想像がつきます。こういった時こそ、変な先入観を持たず、また「本当に『まだ』なのか、本当に『もう』なのか」を自問する必要があるのかもしれません。どちらに転ぶにしても、これから12ヶ月くらいで大まかな方向性が定まってくるのではないか、と筆者は実は思い始めています。
コラム執筆:長谷部 翔太郎
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