マネックスメール編集部企画の特集コラムをお届けします。
先々週、8月2日(土)は七夕(旧暦の7月7日)でした。
中国では織姫と彦星の伝説に因み、男女が出会う、愛を語り合う、あるいはプロポーズをする日とされています。
北京の街中でも、バラやガーベラなどの花を売る露天商が数多く見られました。もっとも、近年では男女の出会いやプロポーズの日としての重要性は、バレンタインデー(2月14日)にすっかり奪われてしまい、七夕はレストランや百貨店などの販促の機会になり下がったとも言われています。
中国では、経済成長で中産階級の所得が増加し、また一人っ子政策により親にとってただ一人の子が増えているため、さらには男女比のアンバランス(伝統的に、あるいは農村部での労働力としての期待から、特に若年層では男性が多くなっています)により、適齢期の男女の出会いから結婚までに係る様々な商品、サービスの市場が急成長しています。
七夕にあわせるかのように、不動産開発会社のその名も「七夕集団」は、4億元(約66億円)を投じて、北京の郊外に敷地面積3万平方メートルの「愛の邸宅」を開業しました。
同施設には写真スタジオ、新婚カップル向けの宿泊施設、披露宴会場、記録(録画、録音)用のスタジオ施設等が設けられており、連日写真撮影や披露宴の予約に訪れるカップルで賑わっているそうです。
中国のブライダル関連市場の規模については、600億米ドル(約6兆円)とするものから、その倍の1,200億米ドル(約12兆円)とするものまで、様々な推計がされていますが、近年急成長を見せているとの評価では一致しています。
人口規模が違いますので当然ではありますが、日本のブライダル関連市場(挙式披露宴、家具、新婚旅行、ブライダルジュエリー、結納関連及び結婚情報サービス)の規模は3兆円弱で、しかも2008年のリーマンショック以降は横ばいないし縮小傾向です。
年間の婚姻件数も、日本は66万件程度であるのに対し、中国では1,000万件を超えています。
物価水準の差を反映し、現在はまだ披露宴等への支出(客単価)は中国の方が少ないですが、これが今後上昇してくれば、市場規模の差がさらに拡大することが予想されます。
中国の結婚式のスタイルは、ちょうど日本の高度成長期からバブル期のように、西洋文化の影響を強く受けつつあります。伝統的な漢服(漢民族の礼服)に代わりウェディングドレスが人気となり、指輪交換やホテルの宴会場での披露宴も一般的なものになっています。
日本人的には見る方が赤面してしまいそうですが、披露宴で新郎新婦を主役に舞台劇(多くはベタなラブストーリーです)を演じる「ド派手な」演出も好まれているそうです。
中国での市場成長を取り込もうと、日本の婚礼プランニング会社や結婚式場運営会社も進出の動きを強めています。日本では少子化に加え、「地味婚」や披露宴を行わない「なし婚」層の増加で業界にとっては逆風となっていますので、当然の動きとも言えます。
挙式、披露宴や新生活の準備などに、どれだけのお金を使うかは、新婚カップルそれぞれの価値観によるものですが、両家の親たちを含め、人生一度の晴れ舞台に惜しみなくお金を使おうとする中国の人達の考え方は、将来への希望が感じられ、羨ましいようにも思えます。
一方で、北京などの大都市では、結婚を希望する男性は家と車を用意することが必須とも言われ、ここでも「お金が第一」となっていることを否応なしに感じさせられます。
結婚のスタイルは人それぞれですが、日本、中国ともに、新たに結婚される皆さんが末永く幸せであられるよう、願いたいと思います。
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コラム執筆:長野雅彦 マネックス証券株式会社 北京駐在員事務所
マネックス証券入社後、引受審査、コンプライアンスなどを担当。2012年9月より北京駐在員事務所勤務。日本証券アナリスト協会検定会員 米国CFA協会認定証券アナリスト
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