第123回 株、商品動向、FXトレードにどう活かす?! 【大橋ひろこのなるほど!わかる!初めてのFX】

マネックスメール編集部企画の特集コラムをお届けします。

第123回 株、商品動向、FXトレードにどう活かす?! 【大橋ひろこのなるほど!わかる!初めてのFX】

FXトレードは為替のチャートだけを見ていてもなかなか勝てません。2008年のリーマンショック以降、世界が金融緩和に踏み切った金余りの世界では、どこかの市場でバブルが形成され、それが崩れるとまたどこかでバブルが起きるという資金循環が見られます。今どのマーケットが人気化しているのか。いち早くこれを見極めることが勝ち組に近づく「コツ」ですが、今回は株や商品と為替の相関について簡単にご紹介しましょう。

◆日本株とドル/円相場の相関

特にアベノミクス相場が始まってから高い相関性が確認できます。日本の株式市場の7割が海外投資家による売買と言われていますが、海外投資家が本邦株式に新規投資する場合は、為替市場で円を買ってその資金で日本株を買い入れています。しかし、そのままでは円の変動リスク(為替リスク)を負うことになってしまいます。株が上がっても円が下がってしまえばその分が損失となるため、相殺され日本株投資の妙味が薄れてしまいますね。そのため、海外投資家は株式の買い入れのタイミングで、為替市場で円売りの為替予約を行っています。円高になるとみるならばこうしたヘッジは行わず、日本株高、円高の両方の差益を取ればいいのですが、日銀が量的金融緩和に踏み切っている今、円安になりやすいため、海外勢は、日本株を買う傍らで円売りのポジションを為替市場で作っているのです。つまり、日本株高は円安を招く相関がより一層強まっていると言えます。逆に日本株が下落に転じれば日本株を売る一方で、円売りポジションも同時に解消する動きが出ますので、円高が進行し易くなっているという相関があることを覚えておいてください。


◆国際商品価格と為替の相関

商品は「物」ですから、通貨の価値が下がれば相対的に上がります。反対に通貨価値が上がれば商品価格は下がります。円高の時代に日本がデフレだったのはこのためですね。従ってドルベースで見る国際商品価格は、商品価格が上がればドル安、商品価格が下がればドル高となる関係にあります。しかし、原油は地政学要因で上昇したりしますし、穀物価格は天候によって大きく動きます。為替要因だけが商品価格を形成しているわけではありません。相対的な商品価格の動向を知りたい場合は「CRB指数」という米国内の各商品取引所等で取引されている先物取引価格から算出される国際商品先物指数を見てください。このインデックスはエネルギーや貴金属、農産物などのコモディティを幅広く網羅し、世界的な物価や景気の代表的な指標として使われています。特に製品原料として使う商品を多く含むため、インフレ動向の先行指標として国際的に注目されているのです。CRB指数が上昇傾向にあればドル安傾向、CRB指数が下落傾向であればドル高と判断することができます。

このような株や商品の教科書的な相関性が崩れ同方向に動き出すこともあります。そうした値動きの歪みが投資のチャンスでもあり、どちらかが間違っている(修正される)と考え、ポジションを作るのが投資の定石です。

例えば、株も商品もどちらも上がるときがあります。2007年までの相場がそうでしたが、こういう場合、為替市場では金利の安い通貨が売られ、金利の高い通貨が買われます。現状の政策金利においてこのような相場が起これば、ゼロ金利政策を実施しているドル売り、円売りとなります。ドルや円を借り入れて、リスク商品を買う動きが加速しているということで、ドルキャリー取引とか円キャリー取引などと呼ばれます。この場合はマーケット全般がリスク選好ですので、豪ドルやNZドルといった金利の高い通貨が積極的に買われますが、こうしたリスク選好相場が崩れると(つまり株下落、商品下落となると)ドル高、円高が急速に進む一方で豪ドルやNZドルは急激な売りにさらされることとなりますのでご注意を。

コラム執筆:大橋ひろこ

フリーアナウンサー。マーケット関連、特にデリバティブ関連に造詣が深い。コモディティやFXなどの経済番組のレギュラーを務める傍ら、自身のトレード記録もメディアを通じて赤裸々に公開中。

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