第126回 下落率NO.1の9月相場、アノマリーからは警戒が必要だけど・・・

マネックスメール編集部企画の特集コラムをお届けします。

第126回 下落率NO.1の9月相場、アノマリーからは警戒が必要だけど・・・

ドル円相場は9月5日(金)、またしても雇用統計の発表を前にドル買い優勢となり、2014年の最高値105.45円を更新、週明け9月8日(月)には106円台に到達しています。日米欧の政治、金融政策などのイベントをこなして「ドル買い」が強まっていますが、年末に向けてこの流れは継続するでしょうか。まずは、この9月というのは例年どんな年なのか。アノマリーと言われるものをいくつか取り上げてみます。

【1】9月の株のパフォーマンスは1年で最低

9月は一年で最も株価が落ち込みやすい月として知られています。日経平均株価の1999年から2013年までの15年間の9月の騰落率は上昇4回・下落11回と圧倒的に下落回数が勝っています。これは日本株だけの傾向ではありません。ジェレミー・シーゲル著「株式投資」の中に、世界の先進20ヶ国(1970~2006年の期間)の月間平均損益で、9月は全ての国で下落となったという記述があります。そして9月の次にパフォーマンスが悪いのが10月。秋口は株式投資には向かないようですね。ということで、ドル円相場も9月は円高確率が高い月なのですが、一体何故9月~10月は弱いのでしょうか。

アメリカの投資信託は10月決算が多く、損益通算の為に9月頃から徐々に売り物が増えるためだとか、ヘッジファンドの決算も10~11月である事が多いため、解約申し入れがあった場合のための対策としてキャッシュポジションを高めるためのポジション整理が行われるのが9月頃からだ、という説がありますが、この時期は9.11テロやリーマンショック、ブラックマンデーの暴落などといった予期せぬ崩落が多いのも事実で、これらが何故9~10月に偏在してきたのかはわかりません。ともかく、警戒が広がる季節であることには違いないのですが、今年は「Sell in May(5月に株を売れ)」と言った市場のアノマリーの逆を行くケースが多い特徴があります。ちなみに1950年以降、S&P500株指数は9月に平均0.5%下落しているのですが、最近5年間では平均2.12%上昇しています。今年「Sell in May」に従った人は、5%近く損をしたのです。必ずしも9月に株が下がるという確固たる材料は存在していませんので、アノマリーはあくまで参考程度にしておきましょう。

【2】9月は日本企業が中間決算を迎えるため円高要因

対外投資により得られた収益あるいは元本を自国通貨に換えて引き上げる行為を、レパトリエーションと呼びますが、決算期にはこの流れが強まるとされています。日本の企業が海外で上げた収益を決算に向けて円に換える場合は円高圧力になります。日本企業は多くが3月決算で、9月が中間決算期。ということで、9月は円高になりやすい月であるというアノマリーが存在するのですが、円高となるほどのレパトリが実際に起こるかどうかは日本企業の対外投資状況にもよりますね。

【3】日経平均株価の定期見直しに伴うインデックス売り

9月は日経平均採用銘柄の見直し・入れ替えが行われることで、機関投資家が新規採用銘柄を買う為にインデックス売りにつながるため、ドル円相場も頭が重くなるという見方もあります。しかし、日本経済新聞社は5日、日経平均株価と日経株価指数300の構成銘柄について、今年の定期見直しによる入れ替えは該当なしと発表しました。定期見直しで入れ替えがないのは2009年以来5年ぶりのことですが、今年は入れ替えに伴う思惑でインデックスが動くことはないので、ドル円相場もこの要因で動くことはありませんね。

8月米雇用統計が予想より悪い内容だったことや、日本の4-6月期のGDP改定値が年率▲7.1%に下方修正された流れを受けても週明け月曜の日経平均はプラス圏で取引を終え、ドル円相場も大きく崩れることなく再び年初来高値を更新し106円台まで上昇していることを鑑みると、9月がもっとも株が弱いという「アノマリー破り」の強いセンチメントが醸成されているように感じます。想定外の急落があれば、絶好の買い場となるのではないでしょうか。


コラム執筆:大橋ひろこ

フリーアナウンサー。マーケット関連、特にデリバティブ関連に造詣が深い。コモディティやFXなどの経済番組のレギュラーを務める傍ら、自身のトレード記録もメディアを通じて赤裸々に公開中。

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