第83回 巨大な中国市場を虎視眈々と狙うスポーツビジネス【北京駐在員事務所から】

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第83回 巨大な中国市場を虎視眈々と狙うスポーツビジネス【北京駐在員事務所から】

9月も半ばを過ぎ、プロ野球はシーズンの終盤戦を迎えています。
米国の大リーグ(MLB)も、地区優勝チーム、プレーオフ進出チームが決まる時期になりました。
昨年は上原投手、田澤投手が所属するボストン・レッドソックスがワールドシリーズを制し、日本でも大きく伝えられましたが、今年は日本人選手が所属するチームの成績が今一つのようで、やや淋しく思われます。


米国のプロスポーツ界では、野球が春から秋を、またバスケットボール(NBA)やアイスホッケー(NHL)などが秋から春をシーズンとする住み分けが出来ています。
それらの中で圧倒的な人気と市場規模を誇るのが、フットボール(NFL)です。年間王者決定戦のスーパーボウルは、テレビ視聴者数などで世界最大のスポーツイベントと言われています。
レギュラーシーズンの試合数が僅か16と、MLBの10分の1以下ですので、チケットは高嶺の花です。私は幸運にも、20年以上前に一度だけ友人の招待で観戦する機会を得ました。スタジアムの大変な盛り上がりは今も鮮明に記憶しています。


今年もレギュラーシーズンが開幕し、来年2月のスーパーボウルまで約半年の間、世界中のファンが熱狂します。中国でのNFLの認知度は、かつて「歩く万里の長城」と呼ばれた姚明選手が活躍したNBAには及ばないものの、近年急速にファンを増やしています。
今シーズンは、20以上のテレビ局がNFLの試合を放映し、視聴可能人口は1億人近くに達する見込みです。加えて、インターネット上でも試合のダイジェストなどが放映され、中国国内での露出が高まると見込まれています。
NFLは、2007年に中国に事務所を開設し、市場開拓を進めて来ました。
試合中継の拡大に加え、近年は主要都市で、過去の名選手などを招いてのイベントも開催し、浸透を図っています。
日本でNFLの試合放映が始まったのは40年ほど前と記憶していますが、中国はまさに当時の日本と同じ状況にあります。圧倒的な人口規模を有し、また米国文化が大好きな中国の人々に、NFLが触手を伸ばすのは当然と言えます。


もちろん、中国の巨大市場を狙うのはNFLだけではありません。
中国ではサッカーの人気が高く、国内リーグの試合に加え、欧州主要リーグの試合や「過去の名勝負&スーパーゴール特集」なども連日数多く放映されています。
来月には、2008年北京オリンピックのメインスタジアムとなった「鳥の巣」で、ブラジル代表対アルゼンチン代表の国際親善試合「スーペルクラシコ」が開催されます。これも中国のサッカーファンの取り込みを狙ったものでしょう。

また、女子の李娜選手などの活躍により、テニスの人気も高まっています。プロテニスのツアー大会は、現在女子のパン・パシフィック・オープンが開催中で、また月末には錦織選手の凱旋試合となる男子のジャパン・オープンもありますので、日本でも大いに盛り上がることと思われますが、中国でも同時並行で月末に北京で男女の中国オープンが、またその前後にも複数の大会が予定されています。
中国オープンの女子、ならびに10月に開催される男子の上海マスターズは、4大大会に次ぐグレード(格付)の大会で、ランキング上位の選手が勢揃いする予定です。
ツアー大会の数、グレードともに、中国は日本を上回っており、市場としての期待の大きさがうかがえます。


中国のスポーツと言えば、かつてはバレーボール、近年では卓球、バドミントン、器械体操等が有名で、オリンピックなど国際大会でメダルを量産と言うイメージですが、経済成長により、娯楽としての市場規模も急成長しています。
人気が高まれば、選手層も自ずと厚いものになります。ゴルフなどでもその兆しが見えますが、いずれは、様々な種目で中国選手が世界を席巻することになるかもしれません。

中国の大きさと勢いを、ここでも感じさせられる話題でした。


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コラム執筆:長野雅彦 マネックス証券株式会社 北京駐在員事務所

マネックス証券入社後、引受審査、コンプライアンスなどを担当。2012年9月より北京駐在員事務所勤務。日本証券アナリスト協会検定会員 米国CFA協会認定証券アナリスト

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