第84回 次世代のグローバル企業は?【北京駐在員事務所から】

マネックスメール編集部企画の特集コラムをお届けします。

第84回 次世代のグローバル企業は?【北京駐在員事務所から】

英国の公認会計士協会とランカスター大学が、このほど共同で「中国の次のグローバル企業100社」を選出し公表しました。
米国での株式上場に沸くアリババ、コンピュータのレノボ、あるいは家電製品のハイアール等、既に中国国内及び海外でその名を確立させた企業に続く先を探すとの試みです。
まだ知名度は十分でなく、国内外のメディアで取り上げられる機会は多くないものの、国内市場で一定の地位を占め、明確な事業戦略を有し急成長を見せている企業が選ばれています。

100社の業種別内訳は

コンピュータ、IT関連:19社

電子機器:13社

金属、金属加工:11社

インターネット、情報サービス関連:9社

その他製造業:8社

繊維、衣料関連:7社

医薬品:6社

などとなっています。

選定の基準としては、国内市場で一定のシェアを有すること(但しシェア1位の企業は除く)、海外での事業展開を既に進めていること、さらに事業戦略、ビジネスモデルが競争力を有することの3点が挙げられています。

選ばれた100社のうち、20社は2008年から12年の5年間の年平均成長率が30%以上で、最高は49.2%に、また成長率が最も低い企業でも16%となりました。100社中、過半の企業において、5年間で売上規模が倍増しており、中には4倍となったものもあります。

上述の業種別内訳の通り、コンピュータ、IT関連、さらには電子機器等の企業が多くなっていますが、国内経済の成長と生活水準の向上を反映し、オンライン旅行代理店最大手のCtripや、語学学校経営会社、映画製作会社等も名を連ねています。

調査を行ったランカスター大学の教授は、選出された企業に共通する要素として、明確で調和の取れた事業戦略を有すること、経営成績と企業成長についてしっかりとした計測と評価が行われていること、ならびに消費者のニーズについて深い理解を有することを挙げています。
また、100社中34社が、既に国内外で一定の地位を確立している一方、現在は中国国内の一地域でのみ事業を展開している企業でも、成長のペースは速く、今後3年から5年の間には国内外のより広い地域で事業展開を行うことが見込まれるとしています。

国内市場が巨大で、かつ成長を続けていますので、多くの企業が、まず国内で力を十分につけ、その後に海外展開を図るという選択を取ることが出来るわけです。今は、まだ様々な「グローバル企業ランキング」等での中国企業のプレゼンスはさほど高くありませんが、いずれは「世界を代表するグローバル企業」に多くの中国企業が名を連ねることになるのでしょう。その時、日本企業さらには日本経済がどのような位置にいるのか、大変気になるところです。

前回の本コラムでご報告しました、スポーツ界での中国の存在の高まりと同様、中国の躍進を実感させられる話題でした。


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コラム執筆:長野雅彦 マネックス証券株式会社 北京駐在員事務所

マネックス証券入社後、引受審査、コンプライアンスなどを担当。2012年9月より北京駐在員事務所勤務。日本証券アナリスト協会検定会員 米国CFA協会認定証券アナリスト

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