マネックスメール編集部企画の特集コラムをお届けします。
中国では、10月1日(水)から7日(火)までの国慶節(中華人民共和国の建国記念日)連休が終わり、日常が戻って来ました。
私もこの間帰国しておりましたが、東京の銀座や新宿では大きな買物袋(中にはスーツケースも)を手にした多くの中国人旅行客を目にしました。百貨店、家電量販店やドラッグストアなどは特需に沸いたようです。
中国人旅行客の増加を受け、日本を含む世界各国で、支払にデビットカード「銀聯(UnionPay)カード」が利用できるホテル、レストランや商業施設等が増えています。
現在、銀聯カードは、世界の140以上の国及び地域の店舗、施設で使用できるそうです。
新聞報道によると、国慶節連休中の銀聯カードによる決済データから、中国人旅行客の消費動向に変化が見られ、今年は買い物よりも宿泊、食事、さらには娯楽・レジャーへの支出額が急増したそうです。
7連休中、宿泊及び食事への支出額(銀聯カードによる決済額)は、前年同期比で52.2%増加し、また娯楽・レジャーへの支出額は同56.6%の増加となりました。一方、買い物の額は30%の増加でした。
食事への支出は、特に台湾、スイス及びオーストラリアで伸びが顕著でした。また、娯楽・レジャーへの支出はタイ及び米国で急増したそうです。
国別の決済額では、韓国が前年同期比111%増、ドイツが同102%増、アラブ首長国連邦(UAE)が同88%増となったほか、カナダ、トルコ、ニュージーランド、スペイン、オーストラリアなどで80%前後の大幅増を記録しました。訪問客と銀聯カード取扱店舗の双方が増加したことで、大幅な伸びにつながっています。
決済機関「中国銀聯」の担当者は、中国の旅行客が「時間消費」、すなわち旅先での様々な体験を重視するようになりつつあると指摘しています。
韓国ソウルのあるレストランには、連休中に連日100人以上の中国人旅行客が訪れ、客単価は前年比40%増の90米ドル(約9,700円)に達したそうです。
店主は、「以前は、中国人旅行客は皆免税店での買い物が目当てだったが、最近は韓国料理を楽しみに訪れる客が増えている」と話していました。
一方、トルコを訪問した上海市の高校教師は、熱気球の体験飛行に400米ドル(約43,000円)を支出しました。「非日常の体験をしたい」が旅の主な目的だそうで、娯楽・レジャーへの支出は惜しまないと話しています。
近年、中国人の海外旅行客は急増しており、今後も更なる伸びが見込まれます。今年は1億人を超え、旅行中の支出額は1,000億米ドル(約10.7兆円)に達すると見られています。
バブル経済の頃に、世界各地の百貨店や観光施設等に日本語の案内表示が溢れたように、これからは至る所で中国語の案内が見られることでしょう。
もう30年近く前になりますが、私が初めて香港を訪問した時に、ペニンシュラホテルのルイ・ヴィトンのブティックに日本人客が列をなし、店員が順番に店内に誘導していた光景が強烈な印象として残っています。
当時は輸入ブランド品が大変高価で、海外旅行と言えばブランド品、酒、たばこ、そして香水類を免税枠一杯に購入するのが「お約束」でした。
現在の中国はまさに当時の日本と同じ状況ですが、海外旅行の普及により、食事やレジャーへと、楽しみ方が徐々に多様化しています。
せっかくの海外旅行ですので、是非旅先で様々な体験をし、理解を深めていただきたいと思います。
中国人海外旅行客の消費動向にも、昔の日本が重なって見られるニュースでした。
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コラム執筆:長野雅彦 マネックス証券株式会社 北京駐在員事務所
マネックス証券入社後、引受審査、コンプライアンスなどを担当。2012年9月より北京駐在員事務所勤務。日本証券アナリスト協会検定会員 米国CFA協会認定証券アナリスト
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