第131回 乱高下相場、ボラティリティ上昇時のトレード 【大橋ひろこのなるほど!わかる!初めてのFX】

マネックスメール編集部企画の特集コラムをお届けします。

第131回 乱高下相場、ボラティリティ上昇時のトレード 【大橋ひろこのなるほど!わかる!初めてのFX】

10月に入って大荒れのマーケット。米国株の下落は現時点で10%に満たず、史上最高値圏からの株価の調整局面として何ら不思議はないものですが、不気味なのが債券市場。仮に米国が順調に景気回復を遂げており、今月10月にQE3終了となって金融政策の正常化に向けて動き出したとするならば、米国債10年物金利(長期金利)2%割れまで下落することはないでしょう。量的緩和策を終え、正常に出口に向かうから金利は上がるはずです。つまり、先週までのマーケットで起こっていたのは、リスク回避によるパニック。株が売られ債券市場に資金が逃避した結果です。この動きはドル/円市場にも押し寄せ、ドル/円相場は105.19円まで円高ドル安となる局面がありました。先週末17日の米国市場からは株も大きく買い戻され、米国10年債金利も2%台を回復、ドル/円相場も106円台後半まで上昇してきていますが、このパニックは収束したのでしょうか。

今回のパニック相場のもっとも不可解な点は、その下落の主因がはっきりしないことです。世界経済の減速懸念という解説が最も多い印象ですが、QE3終了を意識したリスク回避という指摘や、エボラ出血熱拡大によるものだとする指摘もありますが、どれか一つが誘発したというより、それら全てが意識された結果、ストップロスをひっかけながら思わぬ安値を示現してしまったということなのでしょう。一部には先月9月14日のG20で合意された巨大銀行への資本規制の強化(銀行の貸し出しなど資産に対する自己資本の最低比率を現行の2倍近い16~20%に引き上げる)が意識されているという指摘も。確かにこの後9月16日のアリババのIPOが天井付きとなって米株が崩れてきているところを見ると、多少意識された可能性は否定できませんが、11月のオーストリアのG20 で提案され合意のスケジュールであること、詳細を詰めたうえで適用は2019年からということですので、この材料での下落を再び意識するのは11月のG20前後、そして導入前年の2018年。足元ではそれほど意識する必要はないように思います。ただ、長期的には流動性マネーの減少に繋がる話ですから、2018年くらいまででこの壮大な景気回復バブルは終了してしまうリスク要因となってくるということは覚えておきたいですね。

このようなボラティリティの高い相場では、安易にリスクポジションを新規に作らないほうがいいというのが鉄則です。仮に新規で買うとしても、上昇しだしたタイミングで追いかけて飛び乗るというトレードはご法度。今日は下落でも明日は暴騰、というような乱高下を繰り返しながら価格が収斂し、方向性の読めないレンジ相場を形成する可能性が高く、レバレッジを抑えてレンジに入ってからの逆張りで構築する戦略を取る方が、リスクが少なくて済むと思います。これまで高かったものが安く買えるチャンスであることには違いがないのですが、頭と尻尾はくれてやれ、です。底を買ったつもりでいても、レバレッジが高いポジションだともう一段の下落に耐えられないということもあります。また、急激な戻り局面では、底で買えなかった悔しさから飛び乗ってしまうことで高値掴みをして失敗するということが起こりやすい相場。ポジションを取る際はくれぐれも少額づつ、レバレッジを抑えたやり方で。
今回の下落を調整と見るか、天井ウチからの大転換と見るかで、ポジションの取り方も変わってくるかと思いますが、現状の私のスタンスはまだ、大きな調整の範囲と見て、ドル/円の105円台では買い拾うことを考えています。今年寄付き高値として年前半上値を抑えてきた105.45円を一時大きく割り込んだのですが、長い下髭を付けて反発していること、巨大な貿易赤字が示すように需給ではドル高円安の構造であることから、実需のポジションに逆らうトレードをしたくないのが本音ですが、今回の急落でつけた105.19円レベルを大きく割り込んで下落することがあれば、短期的にはさらなる安値を付けるリスクも避けられない相場の地合いですので、105円割れではストップロス注文を置くことを忘れずに...。

コラム執筆:大橋ひろこ

フリーアナウンサー。マーケット関連、特にデリバティブ関連に造詣が深い。コモディティやFXなどの経済番組のレギュラーを務める傍ら、自身のトレード記録もメディアを通じて赤裸々に公開中。

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