第133回 アベノミクス第2幕 日銀緩和+GPIFのインパクト 【大橋ひろこのなるほど!わかる!初めてのFX】

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第133回 アベノミクス第2幕 日銀緩和+GPIFのインパクト 【大橋ひろこのなるほど!わかる!初めてのFX】

10月31日金曜日、日銀は質的量的緩和第2弾を決め、同日GPIF年金積立金管理運用独立行政法人による新資産構成が発表されたことで、ドル/円相場はこの日たった1日で109円台から112円台まで3円もの円安ドル高が進みました。週明けからの為替市場でも更に円安ドル高が進行しており1ドル114円台に突入。1日に3円もの円安進行は行き過ぎと値ごろで売りを仕掛けた向きの「踏み上げ相場」の様相を呈しています。この相場、売りから入るときには注意が必要です。典型的な「押し目買いに押し目無し」相場が到来したといえるでしょう。押し目があればラッキーなくらい、というとんでもないインパクトの材料が10月31日に投下されたといっていいでしょう。

◆「日銀黒田バズーカ2」の概要

日銀による質的量的緩和政策は2012年4月4日に第1弾が発表され、92.73円から5月23日の103.56円までドル/円相場は僅か一か月半の間に10円以上もの円安ドル高が進行しました。今回の第2弾、キーナンバーは「3」です。

①長期国債の保有残高の伸びを年間50兆円から80兆円と30兆円拡大。
②買い入れる国債の平均年限も最大3年延長。(平均残存年限を7-10年程度へ)③ETFやREITの買い入れ額を3倍に。
(ETFの年間買入れ額を1兆円→3兆円に、REITの年間買入れ額300億円→900億円に)※ETFの買い入れ対象に新たにJPX日経400連動型ETFを加える。

ということで、株式市場はこの③に支えられて、今後大きく買われていくでしょう。とにかく、下がったら日銀が株価を支えてくれるのです。これで来年2015年末時点のマネタリーベースは350兆円を突破する見込みでアメリカのQE政策 約450兆円(約4兆ドル)に迫る規模となります。米国が異例のQE政策をこの10月に無事終えたタイミングで日本がQE2を発表したということで、米株の下落リスクが随分と払拭されたのではないでしょうか。というのも、この日銀バズーカとともにセットで出されたGPIF・年金マネーの運用方針で、海外への投資比率が大きく引き上げられました。これは米株にもジャパンマネーが流入するという思惑に繋がっているでしょう。ということで、10月に懸念された米株の天井リスクはしばし遠のいたとみていいと思います。つまり、リスクオフからくる円高リスクも後退したということです。

◆GPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)およそ130兆円の新資産構成

世界一の資金量を誇るとされる我が国日本の年金基金です。これまでリスクを避け、安全資産とされる日本国債で60%あまりが運用されてきました。この運用比率を日本株と海外投資へと大きく振り分けることが新たに発表されました。

国内債券 60% → 35%
国内株式 12% → 25% 
海外債券 11% → 15% 
海外株式 12% → 25% 

特に注目なのが、海外への投資。債券と株式併せて23%だったものが今後は40%へと引き上げられます。なんと、「外モノ」に130兆円の4割もの投資をしていく、というのです。
これ、どう考えても円安要因です。円を売り外貨を買って(ドルやユーロ、ポンド豪ドルなどに替えて)海外の債券や株式を買うということなのです。130兆円の1%で1.3兆円ですから、17%も引き上げられたらこの計画に合わせるなら単純計算で22.1兆円規模の円売りが出る計算となります。つまり、円安です。加えて、日本株投資配分も大きく引き上げられていますが、海外投資家も年金が日本株を支えると見るや日本市場に入ってくると考えられますが、海外勢は日本株を買う際に円を買うのと同時に、年金が外モノとの投資配分を大きく引き上げていることも承知しているわけですから、為替市場で円を売ってヘッジするはずです。つまり、為替リスクが発生しない形にして日本株を買うということです。海外勢が日本株を売る時に円高になるのは、同時に為替市場でもヘッジで円売りした分を買い戻すためです。つまり日本株が上昇を続ける限り、円安も同時に進むこととなりますので、ここからは、日本株上昇の歩調に合わせて円安も進むとみて、決して値ごろで売り仕掛けたりせず、押し目があれば買うスタンスで日経平均2万円、ドル/円相場120円を目指す大相場に乗っていきましょう。

コラム執筆:大橋ひろこ

フリーアナウンサー。マーケット関連、特にデリバティブ関連に造詣が深い。コモディティやFXなどの経済番組のレギュラーを務める傍ら、自身のトレード記録もメディアを通じて赤裸々に公開中。

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