マネックスメール編集部企画の特集コラムをお届けします。
今日、明日にも安倍首相から表明されるであろう解散総選挙への「思惑」で日経平均、ドル円相場が怒涛の上昇となっていましたが、昨日発表された日本の7-9月期のGDP速報値が、なんと▲1.6%とマイナスだったことから、マーケットには衝撃が走りました。日経平均は500円を超える大幅下落で17000円の大台割れ、ドル円相場は115.50円を割り込む下落となりました。これで、消費増税先送り、そして解散総選挙の可能性が濃厚であることが改めて確認できましたが、果たして、解散総選挙の表明を受けてマーケットはどのような反応を示すのでしょう。「アベノミクス失敗を問う選挙となる」という声が出始めていますが、どのような戦略で今後年末までの相場を考えればいいのでしょうか。
まず、最も重要なのが外国人投資家の存在です。外国人投資家は日本株を3週連続で買い越しに回っていますが、10月31日の日銀によるサプライズ緩和発表以降の2週間で現物、先物合計で3兆6000億円もの規模の買い越しです。この間、日本勢は軒並み売り方に回っていました。日銀のサプライズ緩和の内容を見極め、また消費税増税見送りと解散総選挙を織り込みながら買いを継続していたのです。彼らは日本株を買う際、円買いをしますが、円安となると為替リスクが生じるため、同時に同規模の円を売ってヘッジしています。そして為替市場の投機家の動向を見ることができるIMM通貨先物ポジションでも円じり安の中でファンド勢の円売りポジションは拡大傾向が継続しています。
GDP速報値発表後は日経平均は500円超もの下落となり、かなりの利食いが出たと思われます。ドル円相場も115.50円近辺まで下落しました。予想を遥かに下回る結果に動揺が走ったのは確かです。しかし、欧州時間から日経平均、ドル円相場は下げ止まりから反発に転じており、想定を超える悪化であったにもかかわらず意外に崩れていません。今日、明日にも安倍首相から表明されるとみられる「解散総選挙」とその大義説明には、まだまだ期待をつないでいるということでしょう。
彼らの頭には、小泉政権での郵政解散があるのではないか、、、そんな見方もあるようです。2005年8月8日、郵政民営化関連法案が否決されたのを受け、小泉首相は同日、衆議院の解散を表明し、選挙の結果自民党圧勝となりました。この時、日経平均株価は8月8日の11778円から翌年4月7日17563円までほぼ一本調子で上昇しました。この上げ幅は5785円、率にすると49%もの上昇です。ドル円相場は109円台から年末にむけて121円台まで上昇しています。また、この時、米株はそれほど大きく上昇していなかったのですが、米株と日本株の相関性が薄れ、日本株だけが猛烈に上昇するというデカップリングが生じていました。
海外勢がこの時の相場再び、という期待で買い進んでいるのだとすれば、おそらく自民党が選挙で大敗するという結果にならない限り、日本株を売り崩すことはないでしょう。つまり、値ごろ感から売りで入るとその売りは外国人投資家に飲み込まれ、さらに相場が上昇する可能性が高いということ。歴史的にも珍しいとんでもない大相場の幕開けと心して、売りではなく、もし下落する局面があれば買う戦略で見ておかないと失敗すると思います。
解散総選挙となれば、何が何でも株価の大崩れは避けたいのが現政権の本音。決して選挙に利用するということではないにしても、解散総選挙の噂が出ていた先週にも日銀はETFを380億円購入、GDPショックの後も同額のETFを購入しています。つまり増税先送りでも、日銀は株価が下落すれば粛々とTOPIX、JPX400を購入し続けるということは明らかで、これに加えてGPIFマネーも控えています。
海外勢から見れば、株価が下がる理由は「テクニカル的な行き過ぎから適度な調整が欲しい局面」であることや「解散表明後の事実売り(知ったら終い)」くらいしかないのです。もしテクニカルでの加熱を理由に、また、解散表明で利食いの嵐が起こった場合は、日本株、ドル円ともにそれほど長い下落とはならず、再び上昇すると思われますので、こういう相場では「指値注文」機能を上手に使って、現状より少し安いところに注文を置いておくのが、成果を上げるトレードとなるでしょう。
コラム執筆:大橋ひろこ
フリーアナウンサー。マーケット関連、特にデリバティブ関連に造詣が深い。コモディティやFXなどの経済番組のレギュラーを務める傍ら、自身のトレード記録もメディアを通じて赤裸々に公開中。
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