第136回 ドル高円安になりやすい時間帯を狙ったデイトレード 【大橋ひろこのなるほど!わかる!初めてのFX】

マネックスメール編集部企画の特集コラムをお届けします。

第136回 ドル高円安になりやすい時間帯を狙ったデイトレード 【大橋ひろこのなるほど!わかる!初めてのFX】

ニッセイ基礎研究所が公表した「円安になりやすい時間帯は存在するか?-米ドル/円の「時間効果」を計測してみる」というレポートが興味深いので是非。

http://www.nli-research.co.jp/report/researchers_eye/2014/eye141119.html(ニッセイ基礎研究所ウェブサイトに移動します。)

わずか1か月の間にドル/円相場は10円もの円安進行となり、あまりのスピードにすっかり乗り遅れてしまったという方も多いかと思いますが、現在の環境には「円買い」材料はほとんど存在しません。押し目を待ちたいところですが、押し目待ちに押し目無しでやりようがない・・・。こんな時は為替市場の1日の流れを研究してデイトレなど短期売買するのも一つのアイディアではないでしょうか。レポートは、円安になりやすい時間帯には偏りがあった、と指摘しています。

【外為市場の1日の流れ】

07:00 NYクローズ ウェリントン・シドニーマーケット取引時間帯
09:55 東京ドル/円公示仲値決定
15:00 東京オプション・カット
18:00 ロンドン市場オープン(21:00~22:00昼休み時間帯)
22:30 NY市場オープン(経済指標などの発表開始)
23:30 NY株式市場取引開始
01:00 ロンドンフィキシング(ロンドン午後4時)
06:00 NY株式取引終了
07:00 NYクローズ アジア市場スタート
(冬時間表記・夏時間は1時間前倒し)

外為市場の1日の流れを知ることで「円安が加速しやすい時間帯」や「円高に振れやすい時間帯」を見つけることも可能となります。例えば、良く知られる教科書的な変動要因として仲値に向けての取引があります。一般的に9:55の仲値決定の時間までには、ドル買いが旺盛となりやすく、円安が加速するケースが多いとされています。仲値とは銀行などの金融機関が顧客との外貨取引の際の基準レートのこと。刻一刻と動く為替レートを、取引のたびに銀行に問い合わせてもいられないので、9:55にその日1日の取引レートを決めてしまおうというものです。特に「5」や「10」のつく日や月末は、企業の決済日になることが多いため仲値時間に向けて取引が一気に膨らむ傾向があります。では何故、1日の基準となるレートを決める仲値に向けて、ドル買い傾向が強まるのでしょうか。

日本の輸入企業では、取引先への支払いをドル建てで決済する場合が多いというのが、その答えです。その決済日が5や10のつくいわゆるゴトー日であることが多く、このゴトー日に円をドルに両替するのです。ゴトー日に輸入企業の両替が集中するために、金融機関の保有するドルが不足することがあります。これを「仲値不足」と呼び、金融機関は仲値不足の解消のために、外国為替市場を通じてドルを購入するためにドルが買われ、ドル円相場のドル高円安が加速するというわけ。

このような需要が生じることから仲値に向けて上昇したドル円は、仲値決定後に一転して急落し円高方向に動く傾向も見られます。銀行は仲値が決まった後、安く買って高値で売った後の残りのドルを、なるべく早く手放そうとするためのドル売りが存在することに加え、銀行が実需筋(輸入企業)にドルを調達するという目的以外に、実需筋に少しでも高くドルを売るために、カバーディール(自己売買)で仲値時間までドルを買い上げ、高くなった仲値でドルを売り、その利ざやを稼ごうとするディールも存在するためです。

トレード戦略としては、特にゴトー日は東京時間がスタートする前のウェリントン・シドニー取引時間帯に、ドルを買って9:55に向けてのドル高を取り、その後は一転売ってみる、というデイトレードが可能ではないか、ということになりますが、この仲値に向けてのトレードは教科書的に広く知られているため、必ずしもこうした需給の通りに動くというものではありません。相場に絶対はないので、あまりに広く知られた手法は通用しにくくなっていくものですが、こうした需給があることは覚えておくといいでしょう。この通りに動くこともないわけではありません。ゴトー日の他にも、日本の長期連休前などは海外旅行に向けてのドル買いが発生するために、仲値不足が起こりやすくなるということも。
冒頭でご紹介したニッセイ基礎研究所のレポートでも、この仲値の時間が該当する7:00~11:00は円安ドル高になりやすい時間帯であったとされています。ドル/円は短期的にはスピード違反的上昇となっていますが、いつ大きな調整局面が来るかわからない、というこんな時に新規で取引する時はポジションを長く持たず、デイトレードに徹する方がリスクが少ないと思われます。


コラム執筆:大橋ひろこ

フリーアナウンサー。マーケット関連、特にデリバティブ関連に造詣が深い。コモディティやFXなどの経済番組のレギュラーを務める傍ら、自身のトレード記録もメディアを通じて赤裸々に公開中。

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