マネックスメール編集部企画の特集コラムをお届けします。
2014年のドル/円相場は、年初は急落して始まり、夏場は半年にも及ぶ長いレンジ相場に入ってしまったためにトレード妙味がなく、投資成果を上げ難い相場となりましたが、終わってみれば国策についたトレーダーが大勝する結果となりました。2014年年初から予想されていた「ドル高相場」は結果大当たりだったのですが、その理由が「日銀によるサプライズの追加緩和」や「GPIFポートフォリオ運用計画変更」など日本から出てきた材料がけん引した印象で、「米国景気回復を背景にした金利上昇思惑」によるものではなかったことは、今後の展望の課題となってきます。「米金利上昇によるドル高」シナリオは2015年に持ち越されたと思われ、2015年はさらなるドル高が進行する可能性が大きいのではないでしょうか。2014年は円に対してだけでなく、ユーロやポンド、豪ドルなどあらゆる通貨に対して米ドルが買われ「ドル独歩高」の様相を呈した1年だったのですが、これが米金利上昇に連れたドル高でなく、ユーロや豪ドルなどのドル以外の通貨が「弱かった」ことによるものです。米国以外は「通貨安誘導政策」を取っていることから「米ドル高」が顕著になっているのですが、この流れは2015年も続きそうです。
さて、年末年始を挟んでここからです。「円を買う理由は見当たらない」ことは重々承知、とはいえ、今年2014年の年初にドル買いしていたら、いきなりの下落にやられ、半年以上も芽が出ないマイナスポジションとなってしまったことも事実。相場はリズムです。上がる相場だとわかっていても、買う「タイミング」が大事なのです。どうせ買うなら、安く買いたいもの。相場の読みは当たっていても、トレードで負ける投資家の多くは「ポジションを取るタイミング」か「ポジションのボリューム」に失敗しています。
アベノミクス、日銀バズーカによるドル/円上昇相場の波動を検証してみましょう。
(1) 解散から安倍政権へ、そして日銀の量的金融緩和上昇
トレンド:2012年11月(80円)→2013年5月(103円)6か月間 約20円上昇終焉:5月103円→93円まで10円下落 38.2%水準で下げ止まる
→その後のレンジ: 2013年10月まで約5か月レンジ相場続く
(2)ECB利下げ・NISA/GPIF運用見直しが話題となり再びドル高
トレンド:2013年11月(98円)→12月105.45円)2か月間 約7~8円上昇
終焉:2014年1月~2月にかけ100.75円まで4円あまりの下落
→その後のレンジ:2014年8月まで約6か月のレンジ相場続く
(3) GPIFポートフォリオ見直し、衆院解散総選挙、日銀バズーカ2によるドル上昇
トレンド:2014年8月下旬(102円)→12月(121.84円)約20円上昇
終焉:12月8日高値121.84円→16日安値115.56円まで約6円もの下落
→今後レンジとなるか?:2014年末に向け120.50円近辺まで買い戻されている
2014年だけを振り返ってみれば、ドル買いで上手く利益が上げられた時期は8月下旬以降わずか3ケ月間だけ。トレード手法にもよりますがトレンドフォローでのポジションメイクでは、1年のほとんどが利益に繋がらなかったことになります。年初からの下落では、国策に逆らったポジションのドル/円の売りが利益に繋がり、夏場の半年にも及ぶレンジ相場では「101円台でドル買いし、102円台後半でドルを売る」という小さな値幅で売買を繰り返さなければ利益を上げることはできませんでした。
このアベノミクス相場に入ってからのドル/円のリズムを検証すると、第1弾の上昇で20円上昇した後は5か月ものレンジ相場に入っています。その次の昨年末にかけての7~8円上昇した後のレンジは半年間。そして、今、9月からの上昇で20円上昇したところですね。相場のリズムに乗るならば、ここからどんなに円を買う理由がないとしても、一方的な円安トレンドが継続するとは考えにくく、数か月のレンジ相場に入る可能性を想定することが肝要となってきます。高いところで買うことはありません。買うなら下がってきてからがいいでしょう。この場合、8月下旬からの上昇の起点である102円台から121円台までの高値をフィボナッチリトレースメントした38・2~50%押しを調整の目途と考え、円高となる可能性を114・70円、ここを割れたら112・30円まであると想定、このレベルまで下がっても問題ないレバレッジで少しずつ下がったところで買い増すというのが、安全なトレード手法。決して上がっている時に買うべからず。少なくともここ3カ月で20円もの上昇を見せたばかり。調整が入る可能性の方が大きいと考えて、114(112)円~121円台のレンジ相場が長期化することも想定しながら、買う戦略としたいと考えています。
2014年のコラムは今回が最後です。1年間お付き合いくださいました皆様、ありがとうございました。私も書きながら勉強の日々ですが、また来年もどうぞよろしくお願い申し上げます。どうぞ良いお年をお迎えくださいね。
コラム執筆:大橋ひろこ
フリーアナウンサー。マーケット関連、特にデリバティブ関連に造詣が深い。コモディティやFXなどの経済番組のレギュラーを務める傍ら、自身のトレード記録もメディアを通じて赤裸々に公開中。
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