第42回 「2015年に大きなテーマになりそうなモノ」を読み解く 【市場のテーマを再訪する。アナリストが読み解くテーマの本質】

マネックスメール編集部企画の特集コラムをお届けします。

第42回 「2015年に大きなテーマになりそうなモノ」を読み解く 【市場のテーマを再訪する。アナリストが読み解くテーマの本質】

みなさん、こんにちは。『今どき、株で儲けるヤツは、「業種別投資法」を使っている』著者の長谷部翔太郎です。2015年、あけましておめでとうございます。本年も面白いテーマをネタに少し捻った視点をご紹介してまいります。ご愛顧いただければ幸いです。よろしくお願いいたします。さて、まだまだお正月気分が抜け切らぬところですが、本日より相場が始まります。気を引き締めて臨みましょう! 


さて、昨年はこの年初のコラムで「2014年に大きなテーマになりそうなモノ」を3つ取り上げました。消費税、為替、地政学リスクの3つです。これは、自画自賛ながら読み通りの結果になったと考えています。消費増税を契機とした景気失速が株価の重石となったこと、7年ぶりの円安水準で輸出企業株が高パフォーマンスとなったこと、そしてロシア・ウクライナ情勢や中東問題の深刻化なども相場の攪乱要因となりました。では、今年はどういったテーマが注目されるでしょうか。今コラムで取り上げるテーマとして、臆面もなく再び「2015年に大きなテーマになりそうなモノ」を果敢に予測してみたいと思います。


まずは何と言っても「アベノミクス」です。アベノミクスは昨年、一昨年と相場の大きな柱となりました。消費増税という悪材料はありましたが、実態経済回復へのきっかけ、デフレ脱却に向けての大きな道筋となったことは異論のないところでしょう。今年は、消費増税で冷え込んだ経済を再度温めることができるかどうか、がその焦点となってきます。楽観的な見方をすれば、既に消費増税から9ヵ月が経過し、再増税は延期としたため、景気反転は時間の問題となることでしょう。しかし、経験則からすれば、一旦冷えたモノ(景況感)を温めるのはそう簡単ではありません。例えば、あれほど深刻化していた人手不足感も、(人件費が上昇し過ぎたせいもあり)ここもとはかなり落ち着いてきた印象が出ています。直近の円安によって輸入企業は悲鳴を上げつつもあり、今回は2年前に経済を復活させた手法とは異なるアプローチ(処方箋)が求められつつあるように感じています。しかも、既にアベノミクスではあらゆる金融政策・財政政策を採る姿勢を明確にしており、この点ではもはや打つ手が限られてきています。第三の矢と位置づけられる「規制緩和などによる成長戦略」に繋げることができるかどうか、が大きな注目点になるはずです。


次に注目するテーマは「原油」です。既に昨年11月以降、商品市況は大きく下落していますが、中でも原油価格の下落は顕著なものがあります。例えば、指標の一つであるドバイ市況では2014年8月に1バレル110ドルしていたものが、直近では55ドル近辺まで水準を下げています。実に50%の下落です。採掘採算を考えればこれ以上の下落余地は大きくないという結論になりますが、OPECやロシア、米国の政治的影響が攪乱要因となり、先行きはかなり不透明です。日本の影響を考えると、エネルギーコスト安というメリットがまず浮かぶものの、下落幅が閾値を越えると、世界中に一気に不良債権問題が浮上することになりかねません。逆に、市況が急反発となると、昨今の円安の影響もあり、日本の消費者は相当のエネルギーコスト上昇となってしまいます。病み上がりの日本経済にはかなり過酷な負担となるでしょう。原油問題はかなり重要なキーワードになると考えます。


3つ目は「公共インフラ」を上げます。アベノミクス第三の矢が点火するまでは、金融・財政の二本の矢で時間を稼ぐしか手はありません。公共インフラ工事はその中心を担うものと予想します。かつて公共工事は非効率・利権の温床といった批判から、小泉内閣以降の政権で大ナタが振るわれてきました。アベノミクスでも、これまでも財政支出を行ってきた中、公共工事の拡大は大きなものではありませんでした。しかし、東京オリンピックや大地震への備え、橋梁などの深刻な老朽化事情を考えれば、公共工事の積極的な拡大にも大義名分が立つはずです。世論の理解を得る必要はありますが、一段の効果発揮に向けてはこの分野への注力がカギになるのではないでしょうか。


さて、二匹目のどじょうよろしく、2015年の予想テーマを考えてみましたが、いかがでしょう。投資家諸兄が様々考えることの一助になれば幸甚です。2015年。今年もよい年でありますように!


コラム執筆:長谷部 翔太郎

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