第98回 南極大陸が富裕層の旅行先として人気に【北京駐在員事務所から】

マネックスメール編集部企画の特集コラムをお届けします。

第98回 南極大陸が富裕層の旅行先として人気に【北京駐在員事務所から】

明けましておめでとうございます。今年も北京より中国に関する様々なニュース、話題をご報告申し上げます。どうぞよろしくお願いいたします。

今回は、新年早々景気の良い話ということで(?)、南極大陸への観光旅行についてご報告します。
本コラムでも何度か取り上げておりますが、中国では1970年代から80年代の日本のような海外旅行ブームが起きています。
香港、台湾やマカオへの訪問客も含まれるため、他国との比較が難しいのですが、昨年2014年の中国人海外旅行者数は1億人を超え、世界最大の海外旅行市場となっています。
日本でも、百貨店、ディスカウントストアや家電量販店などが中国語対応やデビットカード「銀聯(UnionPay)」の取扱を強化し、中国人旅行客の獲得に力を入れています。

訪問者数の多い先は日本、韓国、東南アジアなど近隣諸国ですが、人気の高い先はヨーロッパ、ハワイやアメリカ西海岸だそうで、成田空港では中国から到着し、米国などに向かう便に乗り継ぐ旅行客を数多く目にします。
そして今、主要な観光地は行き尽くしたという富裕層に人気のスポットが南極大陸です。

以前は、南極への渡航は交通手段が限られ困難を伴いましたが、現在は南米大陸最南端のアルゼンチンからクルーズ船が運航されており、2日間程度の乗船で到着できることから、ハードルがぐっと低くなりました。
南極は今が真夏で、旅行のベストシーズンは11月から3月です。このため旧正月(春節)の連休を利用して訪問する旅行者が多く、南極で結婚式や誕生祝い、結婚祝いを行う人達も増えているそうです。

「地球最南端の地」に加え、野生のペンギン、氷河、流氷や白夜(夏場は昼の時間が21時間にも達するそうです)など、南極ならではの魅力は尽きません。
オーロラも必見なのですが、残念ながら冬に発生する現象のため、多くの観光客は見ることが出来ません。

中国最大のオンライン旅行代理店Ctripの高額旅行部門HHravelの推計によると、2013年から14年に南極を訪問した中国人旅行客は3,367名に達するそうです。
日本人の訪問者が年間600名程度と言われていますので、ここでも中国人の存在の大きさが分かります。
客層は主に企業経営者や役員等の幹部、それに投資家で、多くが家族を帯同するそうです。夏場の南極大陸では、観光に加え、スキーやハイキング、また温泉があるため水泳も楽しめるとのことで、家族旅行の目的地としては最適なのかもしれません。

気になる料金ですが、ツアーの代金は12万元(約230万円)からとなっており、HHtravel社が企画する豪華旅行は20万元(約385万円)以上だそうです。
同社では富裕層にアピールするため、ビジネスクラスの航空座席や豪華客船でのクルーズ、さらに有名シェフが腕を振う料理など、南極への快適な旅を提供すると宣伝に力を入れています。
旅行代金としては破格とも思えますが、普通の海外旅行に飽き足らない富裕層にとっては安い買い物なのでしょう。

日本でも、バブル期には円高の恩恵もあり、かなりの僻地にまで旅行客が足を運んだ時代がありました。今の中国も同じような状況になりつつありますが、以前にも申し上げました通り、人口規模が桁違いですので、世界各国の関連業界に与える影響も規模が違います。
遠からず、世界中どの観光地に足を運んでも、中国語の案内を目にし、また中国語の会話を耳にすることになると想像されます。旅行先の文化、習慣を尊重し、摩擦を生じることなく旅を楽しんで欲しいものです。

新年早々、またもや中国の台頭ぶりを見せつけられる話題となりました。
=====================================

コラム執筆:長野雅彦 マネックス証券株式会社 北京駐在員事務所

マネックス証券入社後、引受審査、コンプライアンスなどを担当。2012年9月より北京駐在員事務所勤務。日本証券アナリスト協会検定会員 米国CFA協会認定証券アナリスト

マネックスからのご留意事項

「特集2」では、マネックス証券でお取扱している商品・サービス等について言及している部分があります。
マネックス証券でお取引いただく際は、所定の手数料や諸経費等をご負担いただく場合があります。お取引いただく各商品等には価格の変動等による損失が生じるおそれがあります。また、信用取引、先物・オプション取引、外国為替証拠金取引・取引所株価指数証拠金取引をご利用いただく場合は、所定の保証金・証拠金をあらかじめいただく場合がございます。これらの取引には差し入れた保証金・証拠金(当初元本)を上回る損失が生じるおそれがあります。

商品ごとに手数料等及びリスクは異なりますので、詳しくは「契約締結前交付書面」、「上場有価証券等書面」、「目論見書」、「目論見書補完書面」又は当社ウェブサイトの「リスク・手数料などの重要事項に関する説明」をよくお読みください。

マネックスメール登録・解除

コラム一覧